内閣府が原子力防災を担う部署を組織改編し、住民避難計画の策定を終えた地域の防災体制強化に注力する部署を新設することが31日、分かった。昨年の能登半島地震を踏まえ、原発事故と地震などが重なる複合災害に備える。自治体の垣根を越えて線量計などの資機材を広域で融通する仕組みも構築する。6月1日付。

 東京電力福島第1原発事故後、原発立地自治体の住民避難計画策定は事実上、再稼働手続きの一環となっている。内閣府は自治体の計画策定支援を担うが、全16地域のうち9地域が策定を終えたため、自治体と関係省庁の調整を担う既存の「地域防災担当」を改編し、地域防災担当を縮小する一方、複合災害対応に専念する「地域充実化担当」を新設する。

 新設部署は屋内退避や避難時の被ばく検査を円滑に行うためのオペレーションの具体化や資機材調達などを担当する。能登半島地震では住宅が多数損壊し屋内退避が難しい状況になったため課題を整理する。

 東電柏崎刈羽原発(新潟県)など避難計画をまだ取りまとめていない自治体は、地域防災担当が引き続き支援する。