進行した「ステージ4」のがん患者の薬剤費が、抗がん剤治療が主流だった10〜15年前と比べ、10倍から50倍程度になっているとの分析結果を日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)がまとめた。開発コストが高い分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新たながん治療薬が普及したことが背景にあるとみられる。

 分析の中心となったJCOG医療経済小委員会委員長の國頭英夫日本赤十字社医療センター化学療法科部長は「効果がほぼ同じなのに、より高い薬が使われている例もある。患者の不利益にならずに薬剤コストを下げることは可能で、診療ガイドラインにコストの観点に関する項目を盛り込むよう(関係学会に)働きかけたい」と話した。

 JCOGは、がん種別に患者の薬剤費を調査した。2021年7月〜22年6月、全国442施設で、17種類の進行がんの初回治療をした患者約1万5千人が対象。治療に使われた薬を調べ、月当たりの費用を集計し、9論文にまとめた。患者の約3割が高齢者だった。