【ワシントン共同】トランプ米大統領と決裂した実業家イーロン・マスク氏が、自身が率いるスペースXの宇宙船を米政府事業から「引き揚げる」と一時表明し、宇宙開発業界に衝撃が広がっている。すぐに撤回したが、マスク氏頼りの危うさが露呈。同社の宇宙船で飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へ送り届けている日本にとってもひとごとではない。

 「膨大な予算を節約する最も簡単な方法は、イーロンへの政府補助金と契約を打ち切ることだ」(トランプ氏)。「スペースXは宇宙船を直ちに引き揚げる」(マスク氏)。5日、交流サイト(SNS)上でののしり合った2人の標的になったのは宇宙開発だった。

 世界の宇宙開発は現在、スペースXの独り勝ちだ。今年の収入は155億ドル(約2兆2千億円)規模。

 スペースXは、飛行士を安定的にISSに送り届けられる米国唯一の企業でもある。ボーイングも宇宙船スターライナーの開発を進めているが、昨年6月、飛行士2人をISSに運んだ際、機体に不具合が発生。帰還にはスペースXのクルードラゴンが使われた。