今後の存続について検討が進んでいる名鉄広見線の新可児-御嵩駅間。同じような環境にあるのが、名鉄蒲郡線です。蒲郡線は吉良吉田駅(愛知県西尾市)から蒲郡駅(同県蒲郡市)までの路線。似たような性格を持つ両線・区間ですが、何が共通して何が異なるのでしょうか。


名鉄広見線は、犬山駅(愛知県犬山市)から新可児駅(可児市)を経由して御嵩駅(御嵩町)を結ぶ路線。電車の運行は新可児駅で完全に分離されています。
新可児-御嵩駅間(7.4キロ)の今後について協議が続いています。昨年12月に存続問題が浮上した時点では、今年6月中に方向性が出ることになっていました。
蒲郡線は、西尾線と接続する吉良吉田駅と蒲郡駅を結ぶ17.6キロの路線。西尾線の西尾-吉良吉田駅間と合わせ、今後の存続方針を3月に決めています。蒲郡線は2027年度以降に、自治体が線路や設備の維持管理や設備投資の費用を負担する「みなし上下分離方式」に移行します。

■共通する車両や運行形態
広見線(新可児-御嵩間)と蒲郡線。何が共通するのでしょうか。

どちらも全線電化の単線の路線。また、同じ方式でのワンマン運行が行われています。無人駅では、車内の運賃箱に運賃や乗車券を入れます。このため、走っている電車も車内に運賃箱がある6000系2両編成のワンマン車が共用されています。復刻塗装によりカラフルになった電車5編成が日替わりで走るのは、どちらも変わりません。
また、乗換駅となる新可児、吉良吉田の両駅には、乗り換え専用の改札口があります。この乗り換え改札が境目となり、車内の運賃箱を使うワンマン運行の区間ではmanacaなどの交通系ICカードは使えません。
この十数年、地元自治体の支援を受けての運行が続いてきた点も同じです。
立地面では、名鉄路線網の「端」にあるという点も重なっています。ワンマン化以前は、名古屋方面へ直通する電車が走っていました。
一方で、接続路線が廃線になっている点も似通っています。広見線は、明智駅(可児市)で分岐していた八百津線が2001年9月限りで廃止。蒲郡線は、吉良吉田駅で接続していた三河線が、2004年3月限りで一部区間が廃止になっています。
■異なる路線の環境
それでは、広見線と蒲郡線は何が異なるのでしょうか。

まず、蒲郡線には海があります。...