中間型のティラノサウルス「カンクウルウ」の化石について説明する北海道大の小林快次教授=11日午後、札幌市

 北海道大の小林快次教授らの研究グループは12日、体重約500キロ未満の中間型のティラノサウルスが数百万年単位でアジアと北米を行き来する中で、体重約1トン以上に大型化する方向へ進化したとの研究結果をまとめた。従来は北米のみで大型化していったと考えられており、小林氏は「進化の過程がすっきり説明できるようになった」としている。同日付で英科学誌ネイチャーに発表した。

 研究グループは1970年代にモンゴルの約9300万〜8300万年前の地層で発見された中間型のティラノサウルスの化石が、大型に進化する分岐点に近い種類とみて、新たに「カンクウルウ」と命名。これも含め約30種類のティラノサウルスの化石や標本を再度調査し、進化のつながりや枝分かれを解析した。

 その結果、大型化したティラノサウルスの祖先はアジア起源で、約8600万年前までに北米に移動、約7800万年前までにアジアに移り、約7300万年から約6700万年前に再び北米に移動したと推定した。移動した理由は不明で、さらに研究を進めるとしている。