主にがんの進行に伴う体や心のつらさを和らげるために行われている「緩和ケア」を、腎不全患者も受けやすくする方向で厚生労働省が検討を始めたことが12日分かった。透析の継続が困難な状況になると、激しい痛みや苦痛を伴う可能性が高いにもかかわらず、緩和ケアが不十分だとの指摘があった。近く閣議決定する政府の経済財政運営の指針「骨太方針」に、腎臓病対策推進の一環として盛り込まれる。
日本透析医学会の統計調査報告書によると、2023年の慢性透析患者数は34万人を超え、約3万8千人が死亡した。ただ医療機関に支払われる緩和ケアの診療加算の対象は、がんとエイズ、末期の心不全患者となっており腎不全患者は含まれていない。
自民党の国会議員有志でつくる勉強会(上川陽子呼びかけ人代表)は今年5月、緩和ケア拡大を含む提言を厚生労働相に提出。厚労省は、腎不全患者も対象となるよう、体制整備を進めることにした。
提言は、患者が最期まで本人の意向に合った尊厳のある生き方を送れるよう、必要な医療、ケアを提供するよう求めた。