【レイキャビク共同】非政府組織(NGO)ピースボートは21日、地球一周の船旅で寄港したアイスランドの首都レイキャビクで、核兵器廃絶を訴えるトークイベントを開いた。広島や長崎の被爆者が「心身を引き裂く」ような辛い体験を証言。地元の平和活動家や旧ソ連の核実験による被ばく者団体に所属する若者らが聞き入った。
イベントは核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と共同で開催。広島市の伊藤正雄さん(84)は原爆が投下された後、犠牲者の遺体を積み上げて火葬する様子やその強烈なにおいが「忘れられない」と振り返った。米国を憎んできたが、米兵が原爆資料館を訪れ、原爆がもたらした惨状に涙を流すのを見て「憎しみは平和を生まない。友人をつくることで平和にたどり着ける」と心境が変化したという。
ICANのパーク事務局長は、戦後80年の節目に「世界中のパートナーの行動を増幅させたい」と強調。ノルウェー・ノーベル研究所(オスロ)のハルプヴィーケン所長は中国が保有する核弾頭数が増え、軍拡競争が過熱する中「(核兵器の廃絶という)解決策のため粘り強く努力する人々が必要だ」と指摘した。