パナソニックホールディングス(HD)は23日、大阪市内で株主総会を開き、楠見雄規社長が「十分な収益を生み出せなかった点を重く受け止めている」と陳謝した。国内外で全従業員の約5%に当たる1万人規模の人員削減などの構造改革が「30年間の停滞から脱却する第一歩だ」と株主に理解を求めた。
パナソニックHDの25年3月期連結決算は、純利益が3662億円で黒字を確保。一方で、24年度までの3カ年の中期計画で掲げた累積の営業利益などの目標は未達成だった。
楠見社長は、テレビ事業など成長が見通せない分野で「不採算の商品や地域からの撤退、売却を含む抜本的な対策で収益改善を図る」と強調。次世代のペロブスカイト太陽電池に関する株主からの質問には、商業化に向けたガラス関連メーカーなどとの協業に意欲を示した。
株主からは「創業者(故松下幸之助氏)は世界的不況でも(従業員を)解雇しなかった。その精神に反しているのでは」との質問も出たが「創業者のエピソードは非常に重い意味を持つが、事業環境が大きく異なる」と説明した。