国の原子力委員会(上坂充委員長)は24日、2024年度版原子力白書を取りまとめた。政府が今年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、原発の依存度低減から最大限活用に転換したことに触れ「脱炭素電源として再稼働を進めることは温室効果ガス排出削減のため重要だ」とした。
白書は、人工知能(AI)の普及などに伴う電力需要の増加を背景に、既存原発より安全性を高めた次世代革新炉の実現が期待されていると紹介。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰を踏まえ「コスト上昇にも耐え得る構造転換に向け、再生可能エネルギーに加え原子力の活用が有効だ」と訴えた。
一方で東京電力福島第1原発事故後、原子力に対する国民の不信、不安が根強いと指摘。国や事業者が新たな取り組みを実施する際「メリットだけでなく、新たに生じる可能性のある課題にも目を向けた情報発信が必要だ」と注文した。また能登半島地震で、北陸電力が志賀原発(石川県)で火災が起きたと誤って発表した例を挙げ、災害時の正確な情報発信を求めた。