日本老年医学会は24日、高齢者の服薬による有害事象を防ぐための指針「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を2015年版から10年ぶりに改定したと発表した。副作用が出やすく使用中止も考慮する「特に慎重な投与を要する薬物」や、反対に使用を推奨する「開始を考慮するべき薬物」のリストを更新。肥満症治療にも使われる糖尿病薬「GLP1受容体作動薬」は新たに慎重投与に加えられた。

 指針は05年に初めて策定され、今回は2度目の改定。オンラインで記者会見した同学会の江頭正人委員長は「10年間で出た新しい薬に対する評価や、薬物療法に関する研究成果を反映させた。高齢者の安全な薬物療法が実現するよう願っている」と説明。一方で患者や家族、介護職に対し、自己判断で服薬を中止せず医師に相談するよう注意喚起した。

 高齢者は薬物による有害事象が若者より起こりやすい。薬の作用が強く出やすい上、複数の病気を併発しているため、いくつもの薬を服用する「多剤服用」が多いことが原因。高齢の入院患者の10〜16%に有害事象が発生しているとされる。