政府は、国や都道府県が発注する公共工事の内容や契約先情報を非公表にできる上限額を、7月1日付で250万円から400万円に引き上げる。物価上昇などを理由に、入札不要の「少額随意契約」の基準額を財務省や総務省が引き上げたことに合わせた。書類作成の手間が省ける一方、事業の透明性が後退する懸念もある。
公共工事の契約は一般競争入札が原則。例外的に契約額が基準額以下の工事は、発注者が直接事業者を選ぶ少額随意契約を結ぶことができる。3月末まで、国の基準額は250万円だった。
しかし、新型コロナウイルス禍などで物価が高騰。人件費や工事費が増大したとして、財務省は4月、関係政令を改正し、基準額を400万円に引き上げた。
総務省も同様に自治体の基準額を更新。都道府県と政令指定都市が発注する公共工事では、250万円から400万円、市町村では130万円から200万円にした。
非公表の上限額と少額随意契約の基準額は必ずしも一致させる必要はないが、国土交通省の担当者は「引き上げが妥当と判断した」としている。