厚生労働省は27日、生活保護基準の引き下げを違法とした最高裁判決を受け、減額分を追加支給する検討に入った。立法措置が必要との指摘があり、国会への法案提出も視野に入れている。原告以外も含めた受給者全員を対象にすれば、必要額は最大で数千億円規模に上るとみられ、専門家の意見を聞いて詳細を詰める。
基準は2013〜15年に段階的に引き下げられた。当時の受給者は約200万人。厚労省は根拠とした「デフレ調整」と「ゆがみ調整」によって、保護費の支給額が15年度に670億円減ると説明していた。この基準は18年度に改定されるまで使われていたため、減額は累計で数千億円規模になる。
訴訟の原告団は27日、当時の受給者全員に、減額分をさかのぼって支給するよう厚労省に要請した。政府、与党内でも「当時の受給者全員に追加支給せざるを得ない」との認識が広がっている。
最高裁判決は基準引き下げの根拠のうち物価下落を反映するデフレ調整を違法とする一方、受給者間の公平を図った、ゆがみ調整は違法ではないとした。