秋田県が、特産の漬物「いぶりがっこ」に適した大根の新品種「秋田いぶりむすめ」を開発した。10年以上かけて目指したのは昔ながらの硬い食感ではなく、全国的な人気に合わせたほど良いやわらかさ。栽培もしやすく、担当者は自信を見せる。
いぶりがっこは大根を煙でいぶし、ぬかで漬け込んだ秋田の郷土食で、近年は酒のつまみとしても人気。県農業試験場によると、昔は保存食として硬めの大根が使われていたが、県外での需要の高まりとともに、やわらかい食感が好まれるようになった。
現在の主流は、いぶりがっこ用として6割を占める民間品種「香漬の助」。水分量が多くキムチやたくあんの加工に適しているが、いぶりがっことしては「やわらかすぎる」のが難点だという。
県は2012年から民間品種をかけ合わせ改良に着手。県が従前開発した硬めの品種と、「香漬の助」の中間の硬さを実現した。生育途中で曲がったり裂けたりしにくく、歩留まり(良品率)も高い。
今年2月に品種登録を出願し、現在は種苗を育成中。27年にも県内の農家向けに種子を販売する。