ノーシードから、シード校を次々と撃破し、岐阜の頂点に立った衝撃の夏から1年。岐阜城北は今夏、打って変わって第1シードの春王者として挑む。県内強豪と比べて決して突出した選手がいるわけはないが、甲子園出場という前チームのレガシーを着実に受け継いだ今チームは昨秋ベスト4になると、今春は県を制し、東海でも東邦(愛知2位)に劇的な逆転サヨナラ勝ちして東海ベスト4。唯一、1回戦免除の第1シードとして追われる立場だが、選手たちにおごりや慢心はみじんもない。「僕たちはまだまだ」。自らの〝足らざるを知り〟、〝無限の向上心〟で成長していく。それこそが、連覇に挑む岐阜城北の強さの源だ。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 第107回全国高校野球選手権岐阜大会は7月5日、ぎふしん長良川球場で開幕する。近年にない激戦の〝戦国岐阜〟を制するのはどこか。高校野球取材歴38年目の夏を迎える記者が、他の追随を許さない圧倒的で綿密な取材と、独自視点で、それぞれのキーワードを軸に有力各校を読み解く。

 ◆〝足らざるを知る〟チームの象徴 進化するエース亀山

 無限の向上心の象徴とも言える存在が、春東海ベスト4の立役者のエース亀山優斗だ。

 球速は130キロ前後だが、この決して速くないことが〝足らざるを知る〟亀山の強みだ。秋田和哉監督も「序盤でとらえられても、相手の打者をよく分析し、修正する対応力が高い」と評価。春県決勝の中京戦はまさに真骨頂。東海初戦の東邦戦でも9割変化球の極端な配球でフライの山を築き、7回をわずか58球だった。

 対応力は生来のものではなく、努力で身に付けたものだ。

多彩な変化球を駆使した対応力は県内ナンバーワン、連覇を狙う岐阜城北のエース亀山優斗=ダイムスタジアム伊勢

 甲子園のマウンドも経験したが、秋までは「まったくバッターの反応を見れなかった」と亀山。「それが練習試合を通じて反応が見れるようになり、自分で考えて、立て直して最少失点で切り抜けて試合をつくれるようになった」と振り返る。

 役立っているのが...