クアッドシティーズ原発=2007年10月、米イリノイ州(The Dispatch/AP=共同)

 【ワシントン共同】米中西部イリノイ州のクアッドシティーズ原発で2023年、原子炉の停止作業中に運転員が手順書を無視して弁が閉じているか確認せず、冷却水約4500リットルが漏れて炉の水位が低下するトラブルがあったことが28日、原子力規制委員会(NRC)の報告書で分かった。NRCは今年5月、現場責任者が上司の叱責を恐れ「ホースの損傷が原因」と虚偽報告するなど6件の違反があったと通知、処分を検討している。

 個人にとどまらず組織として安全を軽視する体質が露呈した形。こうした姿勢は東京電力福島第1原発事故でも指摘された。

 漏れは6分後に止まったが、あと9分続けば冷却水が核燃料の上端まで低下する恐れがあった。科学者らでつくる米団体「憂慮する科学者同盟」は「炉心損傷や放射性物質の放出の可能性がある大事故の前兆だった」と批判している。

 クアッドシティーズ原発は電力大手コンステレーション・エナジーが運用。福島第1と同じ沸騰水型が2基あり、1973年に運転開始した。