静岡県熱海市で発生した大規模土石流の現場=2021年7月5日(ドローンから)

 静岡県熱海市の大規模土石流は、3日で発生から4年となった。不適切な盛り土が崩れて土砂が約2キロ下まで流れ、「人災」と指摘されるが、原因に関する法的判断に決着がつかない。県警の捜査は続き、遺族らが起こした訴訟は被告の会社と行政が責任をなすり付け合う事態に。裁判は来年度中の判決言い渡しが見込まれるが、審理は平行線。遺族らは取り残されている。

 遺族らは21年8月以降、旧土地所有者の不動産管理会社と現所有会社の元経営陣らを順次告訴した。違法な盛り土を認識しながら踏み込んだ措置を取らず住民を死亡させたとして、熱海市長も告訴された。

 県警は業務上過失致死容疑などで関係先を家宅捜索、立件へ証拠を集める。捜査幹部は「盛り土の造成者などが危険を認識していたか立証に時間がかかる」と打ち明ける。

 遺族らは21年9月、現旧所有者らに損害賠償を求め提訴。22年9月には市と県を提訴した。裁判長は判決に向け、26年2〜4月に関係者を証人尋問する予定だが、原告の一人は「長い間進展がなく、もどかしい」と不満を述べた。