安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(44)の裁判員裁判が10月28日、奈良地裁で始まる。殺人罪の成立に争いはなく、弁護側は被告の「宗教2世」としての生い立ちを強調し、本人も宗教学者と面会。こうした結果を基に情状酌量を求めるとみられる。手製銃の構造や威力も争われる見通しで、法定刑の上限が無期懲役の「発射罪」成立も焦点だ。
被告の母親は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金をして破産した。弁護側はこの環境が事件につながったと立証するため、被告の心理的背景を調べる「情状鑑定」を求めたが、地裁に却下された。
一方、被告と宗教学者との面会は認められた。裁判官による「例外的な措置」(検察幹部)で、公判には面会結果が弁護側の証拠として提出される見通しだ。教団と被告の関係が審理される可能性が高いが、関係者によると、検察側は「宗教問題を問う場ではない」と反発している。
被告は銃刀法違反の発射罪でも起訴されており、手製銃の扱いも焦点だ。