熱中症警戒アラート発令を受け、埼玉県所沢市役所に設置されたのぼり旗=昨年7月

 名古屋工業大の研究チームは8日、糖尿病患者は糖尿病でない人に比べて熱中症になるリスクが約1・4倍とする全国の保険診療の明細(レセプト)による解析結果を発表した。熱中症の搬送件数が増加傾向にある中、効果的な対策立案に役立つとしている。

 糖尿病患者は発汗しづらく、体温調節機能が低下するため、熱中症になりやすいとされているが、大規模解析によって裏付けされた形。平田晃正教授(医用工学)は患者に対し「暑く感じないという段階から、早めの対策をしてほしい」と呼びかけている。

 チームは2016〜22年の全国の糖尿病患者約19万人と、比較のために地域や年齢などの条件をそろえた非糖尿病者約75万人のレセプトを解析。患者は熱中症になるリスクが約1・4倍で、特に30代男性は約1・7倍だった。

 東京や大阪などの都市部では、最高気温が30度以下でも患者が熱中症になりやすい傾向があった。また、北海道などの寒冷地域でもリスクが高く、患者の場合、通常より暑さに慣れるのに時間がかかることが原因とみられる。