長崎市の端島(通称・軍艦島)

 長崎市の端島(通称・軍艦島)などで構成する「明治日本の産業革命遺産」を巡り、パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、日本の取り組みの点検を求める韓国側の訴えを退けた。日本政府関係者は8日、世界遺産委の理解を得られたと評価。韓国大統領府は「遺憾」の意を表明した。

 産業革命遺産は2015年、世界遺産に登録された。韓国は、軍艦島などで朝鮮半島出身者の強制労働があったと主張。7日の委員会で、歴史を説明するとした日本の取り組みが不十分だとして点検を求めた。日本政府は委員会の場ではなく日韓で協議すべきだと主張。投票の結果、日本側への支持が多数を占めた。

 決定を受け、日本政府関係者は「これまで同様、真摯に韓国側へ対応していく」と述べた。韓国大統領府関係者は「日本は約束を忠実に履行すべきで、今後も委員会で問題提起していく」と明らかにした。

 産業革命遺産の登録に際し、日本は「犠牲者を記憶にとどめるため適切な対応を取る」と表明していた。