米菓やみそ、酒を製造する中小事業者が、原料の加工用米の値上がりに悲鳴を上げている。コメ価格の高騰により主食用米を作る農家が増えたあおりで、加工用米の不足感が強まっているためだ。政府は加工用向けにも備蓄米を放出する方針だが、品質や風味にこだわりを持つ酒蔵からは活用に慎重な声がある。
「コメの確保にこれほど悩まされたことはなかった」。埼玉県草加市で「草加せんべい」を製造・販売するいけだ屋の池田彰社長(54)の表情はさえない。小売店などに生地を卸す売り上げが全体の7〜8割を占め、コメ使用量は年約200トン。
昨秋以降、1キロ当たり265円で調達してきたが、今秋には440円に上がる。
農林水産省の意向調査によると、4月末時点で加工用米の作付面積は前年実績に比べ12%減の4万4千ヘクタールだった。主食用に転じる生産者が増加しており、減産が予想される。
米菓やみそ、酒などの関連団体は政府に対し、加工業界に備蓄米の放出を要望。小泉進次郎農相は、8月中に応じる意向を示したことで、価格抑制や品薄解消への期待が出ている。