東京高裁=東京・霞が関

 統合失調症と診断され、精神科病院に約40年間入院した群馬県太田市の伊藤時男さん(74)が「入院は実質的に強制で、憲法が定める幸福追求権に反する」として、国に慰謝料など3300万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は10日、強制と認める証拠がないとして請求を棄却した一審東京地裁判決を支持し、伊藤さん側の控訴を棄却した。

 伊藤さん側は本人の意思に基づかない医療保護入院の不当性を訴え、一審判決には「精神疾患への偏見がある」と主張していた。

 小出邦夫裁判長は「入院が長期化したのは、病状、受け入れる家族の意向などさまざまな要因があった」とした。