田植え1回でコメを2度収穫する「再生二期作」に取り組む西尾茂美さん=6月、徳島県阿南市
 コメの再生二期作(イメージ)

 田植え1回でコメを2度収穫する「再生二期作」がじわり拡大している。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の調べでは今年、太平洋側の温暖な地域を中心に約30の生産者が計60ヘクタール程度で導入した。最初の稲刈り後、再び実るのを待つ手法は低コストで増産が期待できる。コメ価格が高騰する中、普及が加速するか注目だ。

 徳島県阿南市で稲作を営む西尾茂美さん(77)は今年、7ヘクタールで再生二期作を取り入れた。2回の収穫で10アール当たり計1200キロの収穫を目指す。品種による違いもあり、収穫量はコシヒカリなど一般的な銘柄米の倍以上だ。「水が確保できれば来年は作付けをさらに増やしたい」と意気込む。

 再生二期作は温暖化で稲作ができる期間が長くなっていることに着目した農法。田植えを4月にした場合、最初は8月にコメを収穫。刈った株から再び芽が出て秋にもう一度、実った稲穂を刈り取る手法だ。水張りは2回目も必要になる。

 温暖な地域が適しており、千葉以南の本州太平洋側や瀬戸内、四国や九州で取り組みが進む。