故エリザベス女王ら英王室メンバーの移動手段として利用されてきた専用列車が、2027年までに引退することになった。19世紀のビクトリア女王の時代から使われてきたが、利用頻度が減っている。王室は費用対効果を検討し、経費削減や近代化推進策の一環として廃止を決めた。

 王室は6月末に公表した年次会計報告書で、列車の維持や管理にかかる費用と利用状況を考慮した結果、運行継続は困難だと判断したと明らかにした。チャールズ国王らは27年以降、より燃費の良い新たなヘリコプター2機を使う予定。

 英メディアによると王室列車は9両編成で、執務室や寝室、ダイニングルームを完備。エリザベス女王の即位50年や60年を祝う記念行事などで使われたが、22年9月にチャールズ国王が就任して以降は利用する機会が大幅に減った。

 王室の財政管理責任者は「王室列車は長年にわたり国民の生活の一部であり、愛されてきた」と別れを惜しみ、「前進するためには過去に縛られてはいけない」と語った。