政府は2025年版防衛白書で、ロシアのウクライナ侵攻や中国の覇権主義的な行動を念頭に「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と指摘した。防衛力強化の必要性を強調し、反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する長射程ミサイル整備などを重点に、25年度予算で必要かつ十分な予算を計上したと説明。「税制措置を含めた財源確保を推進する」と記した。
中谷元・防衛相は15日の記者会見で、中国の軍事動向への懸念に触れた上で「防衛力の抜本的強化について切迫感を持って推進する」と言及。今後の防衛費について「安全保障環境を勘案しつつ、実施すべき事項を積み上げていく」と訴えた。
白書では、25年度中に国産の12式地対艦誘導弾の能力向上型を配備開始すると記述。海上自衛隊艦艇に米国製巡航ミサイル「トマホーク」の発射機能を付加するなど「十分な能力を速やかに確保する」とした。
防衛費の在り方に関し「経費の精査に努め、まとめ買い、長期契約による装備品の効率的な取得を一層推進する」と強調した。