取材に応じる旧統一教会2世の野浪行彦さん=5月、東京・東新橋

 両親が旧統一教会の信者で、昨年、教団側から与えられた本名で生きることは苦痛だとして裁判所に氏名変更を申し立てた野浪行彦さん(37)=通称=が書籍を出版した。合同結婚式をした両親から生まれた「祝福2世」の立場から、被差別部落出身で芥川賞作家の中上健次を主題に、戦後日本文学や部落差別、天皇制などについて考察。安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された教団2世の山上徹也被告(44)への思いもつづった。

 タイトルは「フランスで考えた中上健次のこと 宗教二世にとっての社会物語学」。

 昨年の氏名変更の申し立ては退けられたが、今回の書籍では通称を著者名にし、愛知県生まれであることも初めて公表した。