原子力規制委参事に就任し、報道陣の取材に応じる神田玲子氏=16日午後、東京都港区

 9月に原子力規制委員会の委員に就任する量子科学技術研究開発機構の神田玲子理事が16日、報道陣の取材に応じ「長く続けてきた放射線防護の研究を社会の役に立てたい。東京電力福島第1原発事故の経験を若い世代に引き継いでいく」と抱負を語った。前任の伴信彦委員からの引き継ぎなどのため、同日付で規制委参事に就いた。

 神田氏は同機構の放射線医学研究所長などを歴任。「福島第1原発事故では、多くの周辺住民が放射線による健康リスクを懸念した」と指摘。「被ばくしていなくても、放射線の影響が後から出るかもしれないという不安を長く抱えることになる。そういった不安に寄り添うことを、心構えとして引き継ぎたい」と述べた。

 また「規制委は事実やデータを基に、科学的な判断をする。判断のプロセスを国民に伝え、透明性をしっかり確保していきたい」と述べた。