京都アニメーション社員や遺族ら有志が京都府宇治市に寄贈した碑

 36人が死亡した2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件は18日で発生から6年。現場の第1スタジオ跡地(京都市伏見区)には会社が慰霊碑を建てる方針だ。ただ遺族全員が犠牲者の刻銘を望んでいるわけではなく、検討が続く。刻銘を望む遺族も濃淡があり意向は複雑だが、生きた証しとして「娘に見せたい」との思いを抱く人もいる。

 昨年7月、本社のある京都府宇治市の公園に碑が完成した。京アニ社員や遺族ら有志が市に寄贈。犠牲者の存在や寄せられた支援への感謝を「記憶にとどめる象徴」で、慰霊碑ではないとして犠牲者の刻銘は見送った。

 会社の代理人弁護士によると、会社は跡地の慰霊碑には全員の名前を残したいと希望。刻銘を望む遺族が多いが望まない人もいるという。

 亡くなった宇田淳一さん=当時(34)=の妻は、碑について「ファンやみんなが集える場所ができた」と感謝し、跡地の慰霊碑も「きちんと置いてほしい」と話す。第1スタジオは夫の忘れ物を届けに何度か訪れた。「楽しい所で、夫もそこにいた。刻銘されるなら、(まだ幼い)娘に『お父さんだよ』と見せたい」と思いをはせた。