主な認知バイアスの例

 20日投開票の参院選で、外国人を巡る偽情報や誤情報が出回っている。報道機関などのファクトチェックで否定されても、SNSや街頭演説では「外国人犯罪が増えている」「日本人より優遇されている」といった言説が広がる。専門家は、人は偽情報でも繰り返し触れると信じてしまいやすいとして、不安や不満をあおる情報に警鐘を鳴らしている。

 「人の脳は自分にとって分かりやすい情報や、何度も見た情報を正しいと思いやすい」と指摘するのは、安野智子中央大教授(社会心理学)だ。

 「認知的流ちょう性」や「真実性の錯覚」と呼ばれ、人間の思考判断の偏りを示す認知バイアスの代表例だ。ほかに自分の考えに近い情報は注目する半面、反対の情報を無視しやすい「確証バイアス」などが知られる。

 北星学園大の真嶋良全教授(認知心理学)は社会への不安や不満が高まると、理由を説明してくれるストーリーを信じやすくなると指摘する。

 「自分が報われていない感覚があると、誰かのせいだと考えたい欲求が高まる。『共通の敵』として分かりやすいのが外国人。陰謀論と地続きにある」と警告する。