ミャンマー出身のトゥン・アウン・キンさん(55)は、千葉市で営む居酒屋「海鮮居酒屋 浜焼きかいちゃん」で同胞の若者を雇い、働くすべを教える。不安定な情勢下で家族を支えたいと思い来日した若者に、自立する力をつけてほしいと願う。
遅刻は事前に連絡する。空いた皿を下げる。「日本では当たり前でも、ミャンマーでは常識ではない」。約18年前に難民認定されたトゥンさんは根気強く伝える。
店では、日本語学校で学び日本での就職を目指す学生などがアルバイトとして働く。これまでに店で経験を積んだ約10人が、飲食店や宿泊施設に正社員として就職した。
トゥンさんによるとミャンマーでは、昨年の徴兵制導入を機に、若者が海外に逃れる動きが加速している。人員補充を急ぐ軍は強引に動員。2021年のクーデター以降は、外資企業が相次いで撤退し、女性も職を得にくい。
混乱の中、徴兵から逃れ、国外に渡る若者は家族にとって大きな希望でもある。「自分の力で稼げるようになれば、遠くにいる家族を支えられる」。トゥンさんはそう感じている。