2024年度の最低賃金(時給)が全国最大84円アップとなった徳島県で、賃上げ対応に四苦八苦する企業が出ている。人件費を価格に転嫁しやりくりするが、売り上げが減少した業者もおり「価格転嫁は限界」との声も。一方、後藤田正純知事は「人材確保のために賃金は大事」と引き上げの必要性を主張。25年度改定額は近く決まる予定で、行方が注目される。
「新型コロナウイルス禍でテレワークが増え、需要が落ちているところに人件費の増加は打撃だった」。徳島市で四つのクリーニング店を展開する会社社長(65)はため息をついた。
同社は昨年11月の最低賃金改定に伴い、時給を906円から990円に引き上げた。コスト増に対応するため今年4月に約1割の値上げに踏み切ったところ、4〜6月の営業利益は前年同期比で約3%減少した。
25年度の改定額は徳島労働局が諮問した審議会が8月上旬にも決める見通し。県内企業が提示する募集賃金の下限平均額は今年5月時点で前年同月から54円上がっており、後藤田知事はさらなる引き上げに意欲を示す。