【北京共同】中国で「スパイ活動を行った」として北京の裁判所が懲役3年6月の実刑判決を言い渡したアステラス製薬の60代の日本人男性社員は上訴期限の28日、控訴しなかった。在中国日本大使館が明らかにした。男性は実刑判決が確定。日本大使館は中国で拘束されている邦人の早期釈放を引き続き求めると強調した。
北京の第2中級人民法院(地裁)は16日の判決で、男性が日本の情報機関の依頼を受けて中国の国内情勢に関わる情報を提供し、報酬を得ていたとして「スパイ活動」と認定。中国当局は取り調べの際、罪を認めた場合は量刑が減軽される制度を説明し、自白を促した。男性は容疑を認めた。
日中関係筋によると、中国で反スパイ法が施行された2014年以降、男性社員を含め17人の邦人が拘束され、中国当局はこのうち9人が報酬と引き換えに情報機関に情報提供していたと認識。上海市の裁判所で今年5月に有罪判決を受けた男性を含む複数の邦人の情報提供先は公安調査庁とされた。