男が暴れ複数人が負傷した水戸市南町の事件現場=28日午後7時15分

 血まみれの男性が地面をはって逃げる中、子連れの親に「危ないから来たら駄目」と叫ぶ声。買い物客が集うスーパーの前は騒然とした。水戸市の繁華街で28日午後6時ごろ、6人が切り付けられた事件で、目撃した女性(82)は「勇気ある人たちが取り押さえてくれなければ、被害はもっと大きかった」と振り返った。

 女性は近くの食堂で勤務を終え、買い出しのためスーパーに向かうと、走ってきた通行人に止められた。「危ないからこっちに来たら駄目!」

 スーパーの方に目をやると、長い物を振り回す男の姿が見えた。男は高齢男性に向かって棒のような物をたたきつけ、倒れた男性に襲いかかった。「倒れた人は服が血まみれで、地面をはって必死に逃げていた」

 その時、通行人7、8人が男に駆け寄り、体を押さえつけた。その中の1人は女性の知人で、手を負傷しながら刃物を取り上げ「犯人は一言も発さず、血の気の引いた様子だった」と教えてくれた。

 女性は夫に通報を頼み、約20分後に防刃チョッキを着た警察官らが到着した。