特殊詐欺被害防止のイベント=昨年4月、東京都昭島市

 警察庁は31日、今年上半期(1〜6月)の特殊詐欺被害額が、同期としては過去最悪の約597億3千万円(暫定値)に上ったと発表した。昨年同期の約2・6倍に当たる約370億円の増加。このうち警察官をかたり捜査名目で金をだまし取る「ニセ警察詐欺」が389億3千万円で、特殊詐欺全体の65・2%を占める。交流サイト(SNS)を介した投資、ロマンス詐欺の被害総額は計約590億8千万円で、昨年同期から約71億円減ったが、依然深刻な状況にある。

 2024年の特殊詐欺の被害額(確定値)は約718億8千万円、SNS型詐欺は約1271億9千万円で、いずれも過去最悪だった。特殊詐欺については既に昨年の8割超に達しており、今年も過去最悪を更新する可能性が高い。

 特殊詐欺の上半期認知件数は1万3213件で、前年同期から4256件増えた。ニセ警察詐欺の認知件数は4737件で特殊詐欺全体の35・9%だった。電話で接触後、LINE(ライン)などに誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を提示する手口が典型。