「核兵器の将来性」について記された1945年8月21日付のレナード・チェシャー氏の報告書=7月、ロンドンの英国立公文書館(共同)
 英国空軍の故レナード・チェシャー大佐=1944年9月(ゲッティ=共同)

 【ロンドン共同】1945年8月9日に長崎の原爆投下に立ち会った英国空軍の故レナード・チェシャー大佐が投下から12日後の報告書で、核兵器を搭載可能な弾道ミサイルの開発を急ぐよう英政府に提言していたことが3日分かった。現在では主流になった弾道ミサイルによる核運搬を、爆撃機からの原爆投下直後に予見していた。

 当時はナチス・ドイツが世界に先駆けて弾道ミサイルを保有していたが、核搭載型は米ソが開発を競った1950年代まで実用化されなかった。

 報告書は45年8月21日付で、主題は「核兵器の将来性」。英国立公文書館が所蔵し、2021年に機密解除していた。

 チェシャー氏は広島、長崎の原爆投下で使われた重爆撃機は迎撃される恐れがあり「間もなく投下を保証できなくなる」と予想した。

 標的への到達を唯一保証できるのは宇宙空間を通過して攻撃する「飛翔体」(弾道ミサイル)だと指摘し、開発が最優先だと主張。英国の安全保障は「原爆を確実に投下するという課題を解決できるかどうかにかかっている」と指摘した。