林芳正官房長官は10日、東京電力福島第1原発事故に伴い福島県に残る除染土の県外処分に向け、ロードマップ(工程表)を今月中に策定すると明らかにした。同県大熊町で記者団の取材に答えた。政府は今後5年で取り組む課題を盛り込んだ工程表をまとめ、候補地選定条件の具体化に入る。
林氏は10日、福島第1原発を就任後初めて訪れ、廃炉に向けた取り組みを視察した。東電の小早川智明社長らとの意見交換会も行い「安全かつ着実な廃炉、福島の復興は政権の最重要課題だ。安全確保を最優先し、廃炉作業を一歩一歩進めてほしい」と求めた。小早川氏は「廃炉と復興の両立に全力で取り組む」と述べた。林氏は、除染土を保管する中間貯蔵施設も訪れた。
第1原発周辺では、除染で出た土や廃棄物計約1410万立方メートルを保管。法律は2045年3月までに県外で最終処分すると明記している。政府は、中間貯蔵施設からの搬出に必要な施設の検討や候補地選定の条件などの具体化を進める。