国連と非政府組織(NGO)「ピースボート」が10日、大阪港に停留した客船上で平和に関するイベントを行った。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳代表委員(93)が講演で自らの被爆体験や核廃絶運動を振り返り「被爆者が語ってきたことをこれからも世界中の人に伝えていきたい」と力を込めた。
田中さんは、原爆投下直後に目にした長崎の惨状を語り「こんな殺し方があるのかと思った」と声を震わせた。この時の思いからほかの被爆者らと共に核廃絶運動を続け核兵器禁止条約発効や、昨年の被団協へのノーベル平和賞授賞につながったと説明した。
国連の中満泉事務次長も登壇し、各国が軍事費を拡大している現状に触れ「核兵器が再び安全保障戦略で重要視されている」と危機感を示した。一方で、希望を失わずに核廃絶に向けて行動する大切さも訴えた。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長らも講演した。
イベントは、大阪・関西万博で12日まで実施されているテーマウィーク「平和と人権」の一環。