戦争の相手になった外国籍の市民を収容する「敵国人抑留所」は太平洋戦争中、日本でも各地に設けられた。その実態を伝えようと、英国にルーツを持つ父と祖父が抑留された、元英国籍で横浜市在住の出羽仁さん(72)が活動を続けている。「抑留のような戦争加害の事実もしっかり認識し、語り継ぐ必要がある」と力を込める。
6月14日、神奈川県南足柄市の山中にある、廃校となった中学校を利用したキャンプ場に100人を超える人が集まった。ここには戦時中53人が収容された「神奈川第1抑留所」があり、仁さんの父シディングハム・イーンド・デュアさんと祖父ウィリアムさんも入所していた。
仁さんらはここで2019年から抑留所を「語り継ぐ会」を開いている。新型コロナウイルス禍による休止を挟んで5回目となる今年は、英国のジュリア・ロングボトム駐日大使も出席。ロングボトム氏は「同胞がつらい生活を強いられたことを思うと胸が痛む。こうしたイベントを通じて歴史に思いを巡らせ、後世につないでいくのは意義深い」と述べた。