新潮社=東京都新宿区
 深沢潮さん

 外国にルーツのある人への差別的なコラムが「週刊新潮」に掲載されたとして新潮社に抗議し、謝罪を求めた作家の深沢潮さんが、同社との出版に関する契約を解消することが27日、分かった。深沢さんは「社として差別や人権侵害への認識に向き合わないことに、絶望しました」とコメントした。

 深沢さんは2013年に「ハンサラン愛する人びと」(後に「縁を結うひと」に改題)で新潮社からデビュー。「伴侶の偏差値」などを同社から刊行している。

 問題のコラムは作家高山正之さんの連載「変見自在」の今年7月31日号掲載分で朝鮮半島にルーツのある深沢さんらを「日本名を使うな」などと攻撃した。同社は8月4日、公式サイトで深沢さんに「多大な精神的苦痛」を負わせたとして謝罪。連載は8月28日号で終了した。

 深沢さんの代理人によると、同社は12日付の文書で、人権侵害に当たるようなコラムを掲載する考えはなかったと釈明。深沢さん側がコラムの内容が人権侵害に当たるとの認識を持っているかどうかを尋ねて再回答を求めたが、22日付の文書ではその点について回答がなかった。