中国広東省仏山市の工場で働く労働者=7月(共同)

 【北京共同】中国の最高人民法院(最高裁)が企業と従業員に社会保険への加入徹底を促す判断を示し、波紋が広がっている。中国では労使双方が合意の上で社会保険に入らないケースも多い。そうした労働契約は9月1日から、裁判所では無効とされる。企業と従業員の双方が保険料を負担することになるため、反発の声も上がっている。

 中国の労働法は年金保険や医療保険などへの加入を義務づけている。

 経営体力の弱い中小企業や外食産業は負担増を嫌い、従業員も手取りの増加を優先するため、社会保険に入らないケースが横行している。

 最高裁は8月1日に示した判断で、社会保険に非加入の労働契約は無効だとした上で、企業側に契約解除や補償を請求できることを明確化した。少子高齢化に備え、社会保障の基盤を強化する狙いもある。最高裁は「労働者の利益を保障することは質の高い雇用や社会の調和につながる」と強調する。

 SNS上では「これまでなんとか経営を持ちこたえてきたが、最後の一撃になる」「将来本当に年金がもらえるのか」といった懸念の声が上がる。