初勝利セレモニーで花束を贈られる井口裕貴騎手

 「やっと勝てた。必死でした」「また差されて負けたかと。最後、残っていた」。苦労を重ねてきて、笠松競馬場で今夏デビューを果たした騎手と、初出走から丸1年を迎えた調教師の「遅咲きルーキー」2人が待望の初勝利を飾った。

 9月の「秋風ジュニアシリーズ」で、うれしいニュースが2日続きで飛び込んできた。8月にデビューした30歳の井口裕貴騎手が38戦目で初Vをゲット。55歳の荒木道哉調教師は昨年9月の初出走から61戦目で悲願の初Ⅴをつかんだ。ともにファンによる「結婚記念」の個人協賛レースで達成。ジョッキー仲間やファンらが「歓喜の1勝」を祝福した。

 ■ヤナギバネバギバで馬群を割って突き抜けた

 9月10日の岐阜地方は「秋風」とは程遠く、最高気温34.4度と真夏並みの暑さの中、熱戦が繰り広げられた。3R(3歳4組、1400メートル)に騎乗した井口騎手。自厩舎の7番人気ヤナギバネバギバ(牡3歳、後藤佑耶厩舎)で馬群を割って突き抜け、1着ゴールを決めた。

デビューから38戦目、ヤナギバネバギバとのコンビで差し切り、初勝利を飾った井口騎手(笠松競馬提供)

 井口騎手は昨春から後藤佑耶厩舎の厩務員として働き始めた。地方競馬騎手免許のいわゆる「一発試験」に、園田競馬の厩務員時代を含めて3度目の挑戦で合格した大卒ジョッキー。デビュー後は2着4回、3着3回とあと一歩勝ち切れないレースが続いていたが、その瞬間は訪れた。

 ◎印が割れた混戦レース。井口騎手はヤナギバネバギバで道中を6番手で進むと、3~4コーナーで3番手に押し上げ。最後の直線では逃げたジュエリーメモリーの後ろで行き場を失いかけたが、前の2頭の間に突っ込むと、愛馬は放たれた矢のようにビューンとひと伸び。先頭でゴールラインを駆け抜けた。

 ■ゴール後は筒井騎手らが祝福、7Rでは2勝目

 単勝18.2倍。門別、大井を経て笠松に転入してきたヤナギバネバギバも通算25戦目で初勝利。コンビ2戦目、負担重量3キロ減も生かしてゴール前の鋭い切れ味と、人馬共に最後まで諦めない勝負根性を発揮したレースとなった。2着に渡辺竜也騎手、3着には筒井勇介騎手とリーディング1、2位の名手を従えての堂々の勝利。ゴール後は筒井騎手らに祝福の声を掛けられ、初勝利のおいしい味をかみしめながら、騎乗馬に感謝の思いを伝えた。
 

ヤナギバネバギバを囲んで、井口騎手の初勝利を笠松、名古屋のジョッキー仲間らが祝福した(笠松競馬提供)

 装鞍所エリアでは、人馬とも待望の初勝利に厩務員やジョッキー仲間も「おめでとう」と大喜び。「祝初勝利 井口裕貴騎手」のプラカードを渡辺竜也騎手が掲げ、早速ヤナギバネバギバを囲んで記念写真を撮影。井口騎手はVサインで初勝利の喜びに浸った。

 この日はこれで終わりではなかった。6Rで2着に入ると、続く7Rでは4番人気ヒーローアマゾン(牡3歳、栗本陽一厩舎)に騎乗し、2勝目を挙げた。大逃げしたシャイニーカラーズ(JRA・菅原隆一騎手)の2番手から追走。4コーナーを回って先頭を奪うとそのまま2馬身差でゴールイン。リズム良く2勝目を挙げて存在感をアピールした。

 ■祝初勝利セレモニー、家族らや多くのファンが祝福

  次の開催で井口騎手の「祝初勝利セレモニー」が開かれ、多くのファンらが祝福した。

「もっと頑張って勝つ姿を見せたいです」と意欲を語る井口騎手

 井口騎手は「無事1着になれて本当に良かったです。いろんな人に『おめでとう』と言われ、みんな温かくて力になってます」と感謝。「チャンスを頂いているのに悔しい思いばかりでしたが、やっと結果が出て、もっと頑張りたい。勝つ姿を見せたいです」と飛躍を誓った。

 家族や親類もにぎやかに応援に駆け付け、花束が贈られた。初勝利の感激とともに大勢のファンが差し出した色紙に次々とサイン。30歳ルーキーは笑顔を輝かせ、新たな一歩を踏み出した。

 ■「必死にやって、結果が出て良かった」

 有力馬に乗ることはまだ少なく、セレモニーがあった日は6鞍の騎乗で3着が最高だった。全騎乗を終えた井口騎手にインタビュー。初勝利を挙げたレースを振り返ってもらい、祝勝会は誰と何を食べたのかについても聞いてみた。
 

待望の初勝利を挙げ、歓喜に浸る井口騎手(笠松競馬提供)

 ―6頭に乗って、セレモニーもあって大変でしたね。
 「きょうは、いいところがなかったですね。惜しい4着はありましたが(3着で馬券絡みもあった)。お姉ちゃんら家族が応援に来てくれて、いとこから花束を贈ってもらいました」

 華やかな表彰式になった。井口さんは2人きょうだいで、まだ独身だそうだ。
 
 ―デビューから38戦目、ヤナギバネバギバで初勝利でした。
 「本当に忘れられない馬ですね。前走でも乗せてもらって(4着)、行きたがるところで無理に抑えてしまった。馬が行く気をなくしたんで、今回はハミを取ってきたら、そのまま気持ち良く走らせようと思っていました」

 「ちょうど前で竜也さんが乗っていて、仕掛けどころも同じようだったんで、付いていきました。(4コーナーから)竜也さんがスーッと上手に外に出し、僕の方は内に閉じ込められた。脚があるのに行き場がなく、無理やり内をこじ開けようと狭い所に入ろうとした」

ヤナギバネバギバで初Vを飾ったゴール前。2、3着には渡辺竜也騎手、筒井勇介騎手が続いた

 ―すぐに進路を外に取り、馬群を割って伸びた。豪快な決め脚でファンも驚く好騎乗になりましたね。
 「前が開いたんで突っ込んで、必死でした。インが有利な馬場で(道中も)スルスルと行けたのが良かった」

 ―ゴールの瞬間はどんな気持ちでしたか。
 「やっと勝てたんやなあという感じでした。ずっと勝とうとやってきたが、いつになるのかなという気持ちもあった。必死にやって結果が出て良かったです」

 ■2着・渡辺騎手、3着・筒井騎手で「豪華やなあ」

 ―レース前から勝てそうな手応えはありましたか。
 「前走と変わらない出来で、攻め馬もやっていて、反省点を生かして馬を気持ち良く走らせたいと。なるべく前めにつけようとしたが、前に行けなくて、馬のペースに任せて走らせました」

 ―追い切りには研修中の騎手候補生(同じ後藤佑耶厩舎)が騎乗したんですね。
 「そうです。攻め馬は僕がやっていましたが、追い切りでは別の馬に乗っていたので」

 ―ゴール直後には声を掛けられていましたね。2着・渡辺騎手、3着・筒井騎手でリーディング上位の2人を従えて、記念になるワンツースリーでしたね。
 「筒井さんに『おめでとう』と言われました。僕の好きなジョッキーの方たちで(2、3着)、豪華やなあと思っています。尊敬している人たちばかりで、みんな写真撮影にも来ていただいて」

1周目、エンドオブスペーズで先頭に立った井口騎手

 「でも最終日、エンドオブスペーズに乗って負けて。2番人気で3着でしたが、(逃げ切れず)それが悔しすぎて初勝利のうれしさも飛んでいってしまって。感情がぐちゃぐちゃになりました」

 逃げて4コーナーまで4馬身ほどリードしていたが、ラスト100を切ってバタバタになって失速してしまった。それでも3着は確保した。

 ■1日2勝「ついていました、馬が頑張ってくれました」

 ―初勝利の日は7Rでも勝ったし、2着もあってブレークしましたね。
 「何かついていましたね。ラッキーでした。あの日だけでしたが、たまたま。馬の調子が良く頑張ってくれました。(2勝目の馬は初騎乗で)攻め馬だけやらせてもらっていて、前めにつけようとしました。前の馬が大逃げしてくれたおかげで砂をかぶらず、自分が2番手から逃げている感じのペースでした」

 ―前の馬が失速し、おいしく頂きましたね。2馬身差で勝った。
 「(勝利を)すくった感じで展開も良かったですね。でも馬はレース後に故障して乗馬になりました。続けて乗っていけたら良かったですが。初勝利のヤナギバネバギバも放牧に上がりました。また戻ってくるでしょうが。騎乗馬は負担重量が54キロだとそんなにきつくないですが、52キロだと結構キチキチですね(▲3キロ減で)」

 ■お祝いは「竜也さん、晴大君と焼き肉に」

 ―初勝利のお祝いはしましたか。
 「最終日のレースが終わった夜に竜也さん、晴大君(同厩舎の明星騎手)とご飯を食べに行きました。(ジョッキーの定番)焼き肉でした。勝つ前から、厩務員の頃から誘われていたんですが、竜也さんから『行きましょう』と言われていて、ご飯会が祝勝会になった感じでした。記念撮影などでも『おめでとう』と皆さんに言ってもらって。すぐに勝てると思っていましたが38戦目で、勝つまで意外と長くかかったなあと。チャンスはあったんですけど、経験不足と技術不足でした」
 

井口騎手の初勝利セレモニー、家族やファンらの祝福を受けた(笠松競馬提供)

 ―次は3勝目が目標になりますね。年間21開催あるから、新人とかはみんな1開催で最低1勝はしたいと言いますよ。
 「バンバンいきたいですね。レースでは道中の運び方が大事なのかなとすごく思う。ヤナギバネバギバには直線でステッキは1回ぐらいしか使わなかった。もちろん追う姿勢とかも大事ですね」

 ■「逃げ方を練習したい。飛ばし過ぎないで」

 ―騎乗で心掛けていることは。
 「前へ行けるなら行きたいので、有利に逃げる練習をしたいですね。向正面から焦って飛ばし過ぎた反省があるんで。(2番手を)引き付けてという逃げをやりたいですね。焦らずに向正面からサーッと流して」

 確かに小回りの笠松では前へ行った方が有利だ。アンカツさんや川原正一騎手が対談で話していたのは「笠松の1400メートルぐらいなら、先行して馬も最後まで持たせちゃうし、押し切れちゃう」とのことだ。笠松のレジェンド2人が言っていたし、やはりレースでは2、3番手までの好位につけられるといいようだ。

 ■「悔しいことの方が多くて。やっぱり結果を出したい」

 ―これからの目標は。
 「騎手になってうれしいですけど、悔しいことの方が多くて。やっぱり結果を出したいですね。期待に応えたいというか。いい馬に乗せてもらっているのに勝てなくて悔しいんで。リーディング厩舎の馬とか、勝てるんじゃないかという馬に乗せてもらっているんで、結果を出したい。そういう馬を1着に持ってこられる騎手になりたいですね」

 ―だんだん信頼を得ていけば、有力馬も多く回ってくるようになる。
 「アピールできる騎乗ができたらいいですが。調教馬は増えてきて、最近では26頭ぐらいに乗っています」

多くのファンを前に、色紙などへのサインで交流を深める井口騎手

 ―笠松ではベテランと若手が多くて、数少ない30代ですが、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)の騎乗は来年からですね。名古屋の小笠原羚騎手(18)も出場しますね。
 
 「30歳でもまだ新人なんですよ。そう、YJSは来年からです。勝ちたいですね」

 ―競馬は勝たないと評価されないし、自身も満足できない競技だから。「銀メダル」や「銅メダル」では悔しいようで。
 「できることを懸命にやっていくだけですけどね。騎乗フォームとか、こうやったら馬を動かせたりとか。うまい人のレース運びを見て勉強しています。まだ思ったように乗れていないんで」

 ■ファンに感謝「精いっぱいやるんで、見てほしい」

 ―音楽は忌野清志郎の曲を聴いてやる気を高めているそうですが、勝ったレースでも聴いていましたか。

 「多分聴いていたと思いますよ。ウォークマンを持ってきているんで。調整ルームから出てくる前に気持ちを高めるために『やるぞ』という感じで聴いています」

 ―最後にファンにひと言。笠松のファンは熱い応援をされるので。
 「(初勝利のセレモニーでは)結構サインをさせていただきました(ウイナーズサークルで30枚ほど)。せっかく前の方まで来てくれたんで。ありがたいですね。これからどんどん良くなっていくところを見といててください。精いっぱいやるんで、本当に」

 身長170センチの大型ルーキー井口騎手の挑戦は始まったばかり。多くのファンが応援しており、まずは次の1勝を目指してこつこつと努力を続けていきたい。
 

初出走から丸1年となった61戦目、管理するメモリーフィルムで初勝利を飾った荒木道哉調教師(笠松競馬提供)

 ■荒木調教師は初出走と同じ9月11日にメモリーフィルムで初勝利

 荒木道哉調教師は9月11日、念願の初勝利を挙げた。笠松5R(3歳11組、1400メートル)。昨年9月11日の初出走からちょうど1年。管理するメモリーフィルム(牝3歳、父ディスクリートキャット)が大原浩司騎手の好騎乗で逃げ切りⅤを決め、メモリアルな一日となった。

 厩務員(加藤幸保厩舎)から調教師に転身。2着5回、3着7回と勝てない日々も続いていたが、1年間の苦労が報われる日となった。同じように昨夏、名門・森山英雄厩舎の厩務員から転身した森山広大調教師(33)は既に29勝を挙げている。荒木厩舎は所属馬もまだ少なく、時間がかかったが、待望の1勝となった。

 全馬が中央未勝利からの転入馬で、前走2桁着順ばかりの混戦レース。1頭取り消して6頭立てとなり、メモリーフィルムは最低の6番人気。スタートを決めて先頭に立ったが、向正面では後続に競りかけられて厳しい展開。最後の直線では、加藤聡一騎手騎乗のマーゴットジェムに再び詰め寄られたが、何とかクビ差で逃げ切った。

ゴールに向かうメモリーフィルム。見事1着で荒木調教師に初勝利をプレゼントした(笠松競馬提供)

 ■愛馬を囲んで記念撮影、馬主さんと若者らも参加

 愛馬メモリーフィルムを囲んで記念写真を撮影。「茂地夫妻結婚記念」の個人協賛レースでもあり、馬主さんと教え子の若者らも参加。思い出深いレースとなって笑顔が広がった。「祝初勝利 荒木道哉調教師」のプラカードを深沢杏花騎手が待ち、協賛レースに強い大原騎手とジョッキー仲間らが祝福した。 

 メモリーフィルムの2戦目は中11日で迎えた9月23日。クラスが上がり相手強化で7着に終わった。レース後、厩務員も兼任しパドック周回を務めている荒木調教師に、初勝利までの苦労や喜びの声を聞いた。

 ―初出走からちょうど1年、同じ9月11日に初勝利を挙げられましたね。
 「レースで使うと決めた1カ月ほど前から、勝ち負けにするくらいの気持ちで手を掛けて、じっくりと乗り込んでいた。パドックに出したら、すごく気合が乗っていたから、ひょう変したなあと。ここで何とか勝ちたいなという馬がこれだった」

メモリーフィルムを囲み、荒木調教師の初勝利を祝うジョッキーら。「結婚記念」の個人協賛レースで馬主さんらも喜びを分かち合った(笠松競馬提供)

 ■「バスの中からは『負けたなあ』と思った」

 ―初勝利はクビ差の逃げ切りでしたね。
 「最後しのぎ切って、よくこらえてくれた。でも直線はバスの中で後ろから(スタート地点付近)見ていたから『負けたなあ』と思った。加藤聡一騎手が外からかぶせてきた姿がよく見えたから、負けたかと。(勝った)大原騎手は内で隠れていて見えなかったから。『また差されたかなあ』と思ったら、残っていた」

 ちょうど1年前、初出走で逃げ切れず2着というレースもあった。その後なかなか勝てなかったが、ようやく勝利の女神がほほ笑んでくれた。

 ―パドックでは調教師自ら馬を引いて、一緒に歩いていらっしゃいますね。
 「いつも一人で馬と一緒に回っています。厩務員が入るのは来春(4月)の予定で、今はアルバイトが入って、3日前から働き始めてくれています」

 ■「表か裏か、前へ行って単の目もあると」

 ―1頭が取り消して、最低の6番人気でしたね。ゴールの瞬間はどうでしたか。
 「やっぱり手応えはある程度あったから、それなりに結果は出たかなあと。それまでは馬の力がどうかなあというレースがたくさんあったが、ひょっとしたらと。競馬エースのコメントにもあるように、気性的にも表もあれば裏もある馬。表に出れば、前に行ける脚はありそうで単の目もあるけど、惨敗もあってどっちか。息遣いが悪かったから不安だったけど」

 ―厩務員も兼任ですか。
「2カ月前から一般求人の募集をかけたが、(深夜の調教から)時間帯とかこれだけ特異な仕事ですから、やっぱりすぐには。それでも高校生と専門学校生が見学に来てくれて、あと半年我慢して自分でやります。来年4月から若い子が入ってくれるので」

 ―前日には井口騎手が初勝利を挙げられましたね。
 「井口騎手には先に譲って、俺は後でもいいなと」

パドックでは厩務員役も務め、メモリーフィルムと周回する荒木調教師

 ■勝てない日々「やっぱり、つらかったね。最初は厩舎がバラバラの所だったし」

 ―でも1年も勝てないと焦りもありましたか。2、3着も多かったですね。
 「やっぱり、つらかったね、いろいろと。最初は厩舎がバラバラの所に配置され、ちゃんとした厩舎がもらえなかった。3カ所ぐらいに分かれた所で仕事をしていた。4月からはやっと1カ所にまとまった所(円城寺の東側)になった」

 ―管理されている所属馬は何頭ですか。
 「5頭です。3、4カ月前から餌とかも出し惜しみせずに、やるべきものはやっていこうと。少しお金は掛かるけど、いいものを与えています。そして最初に来たのがメモリーフィルムです。初めて見た時は、ちんちくりんでトモも寂しかったが(中央時代410キロ以下、笠松初戦427キロ)。新潟の芝「千直」で6着もあり、やってみようと。きょうは7着だったが、前走から間がなかった。それでも、最後はちょっと盛り返していた」

レースを終えたメモリーフィルムを出迎える荒木調教師(中央)

 ■「馬主さんも来場され『いやあ、良かった』と喜ばれた」

 ―初勝利のお祝いはされましたか。
 「その日の夜に。当日は馬主さんも来場されたんで『いやあ、良かった』と喜んでもらえました。(協賛レースで)馬主さんの教え子の学生さんたちも一緒に写真を撮って」

 ■「人気のない馬でもアッと言わせたい気持ちでやっている」

 ―初勝利はいつかと思っていましたが、人気もなくてノーマークでした。
 「やっぱりいい意味で裏切りたいし、人気が上がってきたら人気通りに勝ちたいし、どっちもやりたい。(笠松では)笹野調教師と渡辺騎手の名コンビを、少しでもアッと言わせたい気持ちでやっている。時には『ロングショット』というか、やれる時にやりたい。初勝利は6頭立てで6番人気でしたし」

 単勝2080円で穴党にはおいしい馬券になった。管理馬では牝4歳芦毛のユメカナウケンが深沢杏花騎手の騎乗で豪快に追い込み、ハナ差届かなかったレースもあった。深沢騎手も「この馬走るかなあ」と期待していて2着に好走した。ユメカナウケンは順調ならクラス次第で、荒木厩舎2勝目の夢をかなえてくれるのでは。馬づくりに気概を持って情熱を注ぐ荒木調教師の挑戦に注目していきたい。
 


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