少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。今回は関商工高校(関市)の近本彰校長(57)に聞きました。県内唯一の商業科と工業科がある関商工。実は1割弱の生徒が親元から離れ、下宿をしているといいます。ラグビーや野球、バトントワリングなど部活動も盛ん。少子化の時代にあって「部活動が全力でできる高校」です。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

関商工高校=関市桐ケ丘
 関商工高校 所在地は関市桐ケ丘。1943年開校。関市立の全日制・定時制高校。全日制は工業科、商業科で、本年度の定員は工業科160人、商業科120人。愛称は「せきしょうこう」。

 ―関商工の特徴は。

 本校は県内に3校ある市立高校の一つ。地域密着が特徴だ。生徒が地域の人たちに声を掛けてもらったり応援されたりしている。周囲から期待されているとひしひしと感じる。本校の生徒の保護者もOB、OGが多い。創立82年目で、3世代といってもいい家庭もある。

 部活動などに対する関市からの応援、経済的支援も手厚い。陸上競技場、テニスコート、野球グラウンドなど整備してもらっている。関市からは計り知れない支援を受けている。

 
 ちかもと・あきら 岐阜市出身。教科は保健体育。長良高校教頭、県競技スポーツ課長を経て2025年度から現職。2003年の全日本剣道選手権優勝の近本巧さんの兄で、剣道七段。

 ―学びの特徴は。

 県内で商業科と工業科が併設されている高校は本校だけだ。工業科の中には次の3科がある。

 機械科はテクノロジスト(高度技能技術者)を育成する。1年生は機械加工の基礎を学ぶ。2年生からコンピューターを使った設計・製図などを行い、3年生で専門性の高い実践的な学びを実施する。高大連携が特徴で、生徒は中日本航空専門学校(関市)、中日本自動車短期大学(加茂郡坂祝町)で実習を受ける。

 電子機械科は電気と機械の両方を学ぶ。ロボットやAI、IoT(モノのインターネット)などの基礎的な知識や技術を習得する。若年者ものづくり競技大会にも出場し、今年銅賞を獲得した。

 建設工学科は建設技術を座学、実習で学ぶ。2年生から建築、土木に分かれる。土木ではドローンを使った測量を実習する。関市役所と連携した「まちづくり」などに取り組んでいる。

 商業科は2年次で会計、情報、流通、総合の四つのコースおよび進学クラスに分かれる。そのうち進学クラスは、4年制大学への進学を目指すクラス。多くは学校推薦型選抜、総合型選抜で大学進学を目指す。共通テストを受けて大学入試に臨む生徒もいる。...