2024年10月から、全9回にわたり連載した「児童数の増えている小学校はここだ!」を担当ライターが振り返る対談企画。児童増加の背景を考えた前編に続き、後編では、児童数が大きく減少した学校が抱える事情を探ります。増加と減少、それぞれの要因を浮き彫りにした結果、見えてきた「少子化に負けないまちづくりのヒント」とは-。担当ライターは元岐阜新聞記者で、フリーライターの西山歩さん。聞き手は馬田泰州・岐阜新聞社デジタルコンテンツ部長です。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
◆児童が急減する小学校の共通点
馬田 今回は児童数が減った学校について見てみよう。
西山 まずお伝えしたいのが、この20年間、岐阜県全体が少子化の流れの中にあり、大半の学校は児童数が右肩下がりだということです。今回取り上げた9市(岐阜、大垣、美濃加茂、可児、各務原、多治見、羽島、高山、瑞穂)の計150小学校のうち、20年の推移がプラスとなったのはわずか27校でした。残りの8割超はマイナスです。半数以下という学校もあります。
馬田 減少幅の大きい学校に共通点はあるのかな。
西山 増加要因の逆になりますが、第一に生活利便性の問題が挙げられます。特に交通が不便な地域です。

例えば、岐阜市で減少幅の大きかった網代、方県小校区は市北西部の山際にあり、中心市街地まで車で30分ほどかかります。大垣市に飛び石合併した旧上石津町の上石津学園、羽島市南部で川に挟まれた中島小や桑原学園、高山市の旧町村部も市街地から離れ、公共交通機関が少ないという共通点があります。
馬田 ほかには?
西山 もう一つ、急減の要因としてたびたび指摘されたのが、1970~80年代、県内各地に造られた団地の存在です...