「日本一心温まる学校を目指す。生徒には一人で飯が食える、社会で自立した人間になってほしい」と話す北浦茂学園長=揖斐川町東横山、西濃学園

 岐阜県揖斐川町西津汲に今春、中部では初という文部科学相が指定する特別な教育課程を編成できる「不登校特例校」の全日制普通科高校「西濃学園高校」が開校した。運営する学校法人「西濃学園」の北浦茂学園長(73)は、同町で約20年、西濃学園中学校(同町東横山)などで不登校の子どもたちを支援している。活動の経緯や展望を聞いた。

 -これまで運営してきた通信制高校の卒業資格が得られる技能連携校から移行し、高校を開設した。

 「中学校には、学年の途中で転校してくる生徒が多い。やがて元気になって別の全日制高校に進学すると、再び不登校になるケースがあった。高校の3年間を通して生徒の心を整理していく必要を感じていたし、以前から全日制高校の教育課程で教師と教材を通した生徒の人間形成をしたいという思いがあった」

 -不登校の子どもたちを知るきっかけは。

 「以前は愛知県の私立高校に約30年勤務していた。30代で生徒指導を担当した時に『学校に行きたくても行けない』生徒と出会った。情熱を持って向き合えばなんとかなる、と生徒と一緒に登校するなどしたが、拒絶されてしまった。当時、不登校は登校拒否と呼ばれた。『心が弱いから、強くすればいい』という見方があったが、向き合う中で、そんな単純な話ではないと考え、勉強を始めた」

 -2003年に同町で宿泊型のフリースクール「坂内新生塾」を開設した。

 「教員として不登校の生徒と関わるうちに、人間同士の信頼関係を構築することが立ち直りに大事なのではと考えた。同時期に、不登校の子どもたちと合宿を通して立ち直りを支援する取り組みに参加して、この方式を取り入れた学校を作りたいという思いが生まれた。その後、要望を受けて不登校の子どもを支援するボランティア団体を大垣市で立ち上げたことが縁となってフリースクールの開設につながった」

 -西濃学園高校の特色、学校が目指す将来像は。

 「臨床心理士を配置し、深く生徒に寄り添う。基本となる寮生活では、同級生や時に教員と食事や風呂をともにしながら幅の広い人間関係を築いてもらい、社会を乗り越える力を身につけさせたい。地域とのつながりは人間関係を構築していく上での原点。この地域ならではの共同体を生かし、文化祭などの行事を地域住民と一緒に行う。心を育むきっかけとして北アルプスへの夏山登山や劇団四季の観劇といった本物に触れる機会も用意している。『日本一心温まる学校』を目指す。生徒には一人で飯が食えるような社会で自立した人間になってほしい」