塚本征吾騎手の好騎乗で、9番人気エイシンジョルトが全国重賞ブルーリボンマイルを制覇。2着は赤岡修次騎手騎乗のシンリンゲンカイ

 ゴール前、地元笠松の9番人気馬(10頭立て)がまさかの激走を見せてくれた。塚本征吾騎手騎乗のエイシンジョルト(牝5歳、笹野博司厩舎)が「衝撃」の走りで、大金星といえる地方全国交流の重賞Ⅴを決めた。

 グランダム・ジャパン(世代別牝馬重賞シリーズ)古馬・春シーズン第2戦(19日、笠松)に兵庫、高知、佐賀、浦和からも牝馬の強豪が集結。大激戦となった第3回ブルーリボンマイル(SPⅠ、1600メートル)。1着賞金500万円。ブルーリボンは「一等賞」を意味し、牝馬限定競走にちなんで女性らしさを表す「リボン」が組み合わされている。
             

パドック前に整列、ブルーリボンマイルに騎乗するジョッキーたち

 吉原寛人、赤岡修次、下原理騎手ら地方競馬のトップジョッキーも参戦し、笠松、名古屋の若手らが迎撃。パドック前でのジョッキーのあいさつ、返し馬から豪華な顔ぶれにファンも胸を躍らせた。

 前走で園田・コウノトリ賞を圧勝した兵庫・スマートアンバー=下原理騎手=が断トツ人気だったが、中団やや後ろからの競馬。エイシンジョルトはいつも通りの先行策で、1周目2番手からの絶好位につけた。凍結防止剤の影響もあり、ペースは速くならずゆっくりとした流れ。向正面ではゴーゴーバースデイ=明星晴大騎手=がインから先頭に迫って見せ場をつくった。

ブルーリボンマイル1周目ゴール前。シンリンゲンカイが逃げ、エイシンジョルは2番手

 ■一騎打ち、塚本騎手が赤岡騎手との追い比べ制した

 最後の直線では2頭が抜け出し、エイシンジョルトと逃げた高知のシンリンゲンカイ=赤岡騎手=が一騎打ち。激しい追い比べを制し、エイシンジョルトがグイッとひと伸び。塚本騎手は勝利を確信し1馬身差でゴールイン。単勝64.8倍で専門紙予想「無印」の馬が優勝をさらい、3連単37万円超の大波乱となった。スマートアンバーとヴィーリヤの兵庫勢2頭は3、4着に敗れ去った。

 佐賀のソイジャガーに渡辺竜也騎手、浦和のマテリアルガールには望月洵輝騎手が手綱を託されたが5着、7着どまり。門別で重賞5勝後、笠松に移籍し2番人気に推された笠松・田口輝彦厩舎のゼロアワー。「さすらいの重賞ハンター」吉原寛人騎手で挑んだが8着に終わった。
 
 エイシンジョルトは門別、兵庫を経て笠松に昨夏移籍。重賞の撫子賞、東海クラウンを含め4連勝。笠松グランプリで9着に敗れた後は3着が2回続き。笠松では7戦とも1400メートル戦(4勝)でマイルは初めて。距離延長も微妙で、ここでは人気を落としていたが、笠松勢の意地を見せてくれた。

返し馬に向かうエイシンジョルトと塚本騎手

 ■「笠松の馬で勝てて、すごくうれしい」

 優勝インタビューで塚本騎手は「笠松の馬で勝てたことがすごくうれしい。前に行ってほしいと先生にも言われた通り、前々での競馬で『頑張ってくれ』と必死でした。競馬がすごくしやすく、笠松の代表馬になっていくと思うので、エイシンジョルトを応援してください」とファンに喜びの声を届けた。

 伏兵馬を勝利に導いた塚本騎手は2月20日が22歳のバースデー。ファンから「塚本騎手、あす誕生日もおめでとうございます」と祝福され、全国重賞Ⅴとの二重の「おめでとう」で大盛り上がり。最高の結果で「一日早いお祝い」となった。20日の笠松7Rでは「バースデーV」をしっかりと決めた。レース後、自らのⅩ(旧ツイッター)でも「エイシンジョルトの成長に追いつけるよう僕も頑張ります! 応援をよろしくお願いします」との声を寄せた。               

ブルーリボンマイル優勝馬のエイシンジョルトと喜びの関係者

 ■笹野調教師、全国重賞制覇は格別の味

 笹野調教師は重賞27勝目を飾ったが、全国重賞制覇は格別の味となった。「ペースが落ち着いたんで展開にも恵まれた。パドックでも落ち着いていて良かったです。初めての1600メートルでも問題なかった」と愛馬エイシンジョルトの好走をたたえた。

 勝ち馬の状態については「良かったです。前回、前々回は調子が落ちてきたんで、一息入れて持ち直していた。追い切りも渡辺君がやってくれてすごく良かったんで、戻ってきているなと」。好仕上げで手応え十分だった。昨年も笠松で重賞を2勝している実力馬。「笠松との相性が合う馬ですね。9番人気だったんですか」と低評価に反発したかのように強豪を撃破し全国重賞Vを果たした。

 グランダム・ジャパン第2戦を勝ったことで、次走は微妙だが、第3戦となる名古屋・若草賞土古記念(3月12日)も選択肢の一つに入ってきそうだ。

「全国リーディングをを狙っていきたい」と話す笹野博司調教師ら。昨年の笠松競馬成績優秀者が表彰された

 ■渡辺&笹野コンビ「師弟で全国2冠」のチャンス 

 「調教師として全国リーディングを」「笠松から全国で通用する強い馬づくりを」。2月6日には笠松競馬の2025年「騎手等成績優秀者表彰」が行われ、ウイナーズサークルは晴れの舞台となった。笹野博司調教師と渡辺竜也騎手の師弟コンビをはじめ厩務員2人と、重賞勝ち競走馬3頭の活躍や馬主さんらの貢献がたたえられた。

 「優秀調教師」には182勝を挙げた笹野調教師が選出され、栄誉を受けた。4年連続、通算7回目の受賞。10年連続で調教師リーディングの快挙も達成した。

 全国リーディングでは打越勇児調教師(高知)の190勝に続き2年連続で2位。笠松競馬は昨年、夏場の馬場改修で2カ月間もレースがなかった。このため笹野厩舎の出走数は100以上減って、前年の190勝を超えられなかったが、今年は200勝超えで初めてとなる全国リーディングも十分に狙えそうだ。

準重賞「岐阜新聞・岐阜放送杯」を制覇した渡辺竜也騎手と笹野調教師の師弟コンビ

 ■全国調教師リーディング、笹野師がトップ奪う

 2月20日現在、笹野調教師は打越調教師の32勝を上回る33勝で、全国リーディングに躍り出た。上位2人に続くのが角田輝也調教師(名古屋)、田中守調教師(高知)の26勝。ともに全国リーディング経験者で、今年は上位4人での争いとなりそうだ。

 笹野調教師は今年の勝率が29.5%(昨年26.4%)で、こちらも「最優秀勝率調教師賞」を狙える好位置。昨年は荒山勝徳調教師(大井)が勝率31.4%で初受賞している。    
 
 NARグランプリのタイトルとしては笠松勢で初めてとなる「最優秀勝利回数調教師賞」も視野に入ってきた。渡辺竜也騎手は2年連続で「最優秀勝率騎手賞」の座をゲットしており、今年は「師弟コンビでのタイトル2冠奪取」も十分に狙えそうだ。

 ■笠松ファンとして「今年はチャンス、多分いけるのでは」

 ブルーリボンマイルを制覇した笹野調教師はこの日2勝。「今年は全国リーディングを目指していますので、取れるように頑張りたい」とタイトル奪取に意欲。10年連続笠松リーディング、2年連続全国リーディング2位で機は熟したといえる。1年間フルに戦え「今年はチャンスなんで、多分いけると思いますよ。NARグランプリの表彰では竜也君とダブルで」と笠松ファンを代表して思いを伝えた。

 これまで2022年に「打越調教師&宮川実騎手」、23年には「田中守調教師&赤岡修次騎手」(いずれも高知勢)が師弟コンビで2冠を達成しているが、笹野厩舎も続きたい。特にトレーナー部門での全国リーディング奪取は意義は大きく。オーナーサイドから「あの厩舎に任せてみよう」と有力馬の預託増にも直結する。笠松所属馬全体のレベルアップにつながるので、ぜひ達成していただきたい。

岐阜新聞・岐阜放送杯を制したスターサンドビーチ。笹野調教師は地方競馬通算1700勝も達成した

 ■岐阜新聞・岐阜放送杯を制し通算1700勝も達成

 昨年、笹野厩舎は管理する愛馬ヨサリで秋風ジュニアと地元重賞ネクストスター笠松(渡辺竜也騎手)、エイシンジョルトでは撫子争覇と東海クラウン(塚本征吾騎手)を制覇。重賞ウイナー2頭を育て上げた。

 年末には渡辺騎手騎乗のスターサンドビーチで準重賞「岐阜新聞・岐阜放送賞」を制し、笹野調教師は地方競馬通算1700勝も達成。師匠のメモリアルⅤを自厩舎の馬で決めて、強力タッグの絆を深めた。

 成績優秀者表彰式で笹野調教師は「管理馬たちが大きなけがも無く、1年頑張ってくれてこの勝率、成績を挙げられた。昨年以上に成績を伸ばして、全国リーディングを狙っていきたい」と力強い言葉。ファンに対しては「いつもご声援ありがとうございます。まだ寒い中ですけれども、たくさん馬券を買っていただいて応援してください」と感謝のメッセージを送った。

 現役管理馬は67頭。笹野厩舎へのオーナーサイドの期待も大きく、近年はオマタセシマシタやアオラキなど人気馬の預託も増えている。厩舎一丸となって、全国リーディングの座や「最優秀勝率調教師賞」も大きな目標にして、他地区での重賞ⅤやJRAのレースにもチャレンジしていただきたい。

調教師・騎手・厩務員部門の成績優秀者たち

 ■渡辺騎手「忙しくて幸せな1年でした」

 笹野厩舎を支える笠松の大エース渡辺騎手は、全国の重賞戦線での活躍も目覚ましい。昨年は笠松競馬をはじめ盛岡、佐賀、北海道でも重賞Ⅴを量産し計7勝。NARグランプリ2025の「最優秀勝率騎手賞」に輝いた。2年連続での全国タイトル奪取。笠松では461戦165勝、勝率35.8%で4年連続4回目の成績優秀者受賞となった。

 「昨年はいろんな競馬場に行かせていただいたりして、忙しい1年でだったなと。幸せなことで、今年はもっと忙しい1年にしたいなと思います。応援よろしくお願いします」と意欲を示し、今年は名古屋にも積極参戦。既に昨年を上回る11勝を挙げており、名古屋リーディング10位。笠松でも成績上位の塚本騎手や望月洵輝騎手ら名古屋勢の参戦に刺激も受けたことだろう。名古屋では有力馬への騎乗は減るが、1月末には3番人気馬で1日4勝を挙げるなど、馬券的には単穴で狙い目にもなっている。休日には奥美濃でスノーボードなどを楽しみリフレッシュ。充実したジョッキーライフを送っている。

 ■優秀厩務員「これからも頑張ります」「けがしないように心掛け」

 「優秀厩務員」はいずれも水野善太厩舎所属の山田隆稔厩務員、森島智美厩務員が受賞。競走馬育成に尽力され、長年の貢献がたたえられた。

 山田厩務員は通算54年8カ月、職務に精励し成績良好なため表彰された。「受賞はこれで2回目、大変光栄なことです。ありがとうございます。これからも頑張ります」。森島厩務員は勤続通算13年9カ月、成績良好で模範であるとして表彰された。「うれしいです。普段はけがしないように心掛け、(馬が頑張ってくれるのを願って)これからも頑張りますので、よろしくお願いします」。森島貴之騎手の奥さんでもあり、夫婦タッグで水野厩舎を支えている。強い馬づくりのパートナーとして今後も愛馬たちの育成に励んでいただきたい。

ネクストスター笠松を制覇したヨサリと喜びを爆発させた渡辺竜也騎手(笠松競馬提供)

 ■最優秀馬に2歳ヨサリ、3歳ゴーゴーバースデイ、4歳以上イイネイイネイイネ

 競走馬部門で表彰を受けたのは3頭。2歳最優秀馬に笹野厩舎のヨサリ(牡・栗毛)、3歳最優秀馬に後藤佑耶厩舎のゴーゴーバースデイ(牝・鹿毛)、4歳以上最優秀馬には田口輝彦厩舎のイイネイイネイイネ(牡・栗毛)が選出され、表彰を受けた。

 ヨサリの馬主・石川裕基さん、ゴーゴーバースデイの馬主・稲葉光昭さん(代理・後藤佑耶調教師)、イイネイイネイイネの馬主・吉田勝利さんがウイナーズサークルで表彰状や記念品を受け「優秀な成績を収められ、その功績が顕著でした」と栄誉がたたえられた。

競走馬部門で表彰を受ける成績優秀者たち

 ■オーナーも「笠松から全国に挑戦する馬を」

 くろゆり賞で全国重賞を制した4歳以上最優秀馬イイネイイネイイネの吉田勝利オーナー。「伏兵であんまり期待してなかったんですけど、全国交流で笠松の馬が勝ってすごくうれしかったし、こういう場に立たせてもらえて本当にありがたいです。(今年も所有馬の活躍を期待し)笠松から全国に挑戦する馬を出せれば」とファンらに応援を呼び掛けた。
 

くろゆり賞をイイネイイネイイネで制覇し、ガッツポーズも出た筒井勇介騎手

 全国各地を転戦していたダルマワンサは2年3カ月ぶりに勝利を挙げた。「岐阜金賞を勝った馬ですし、そういう馬が古豪になっても皆さんに愛される馬として、笠松で活躍してくれることがうれしいです。笠松競馬も皆さんに応援していただいて、どんどん売り上げが増えて、良い馬がもっと入ってくると思ってますので、賞金を上げてください。よろしくお願いします」。前日には髙木健騎手騎乗のリバーサルトップ(田口輝彦厩舎)でゴールドジュニアも制覇した吉田オーナー。今後も全国の重賞戦線で活躍できるような強い馬を、厩舎スタッフの皆さんと育てていただきたい。

 ■「地元デビューで頑張れた」「末永い活躍ができるよう」

 2歳最優秀馬のヨサリは5戦4勝。先行力があり、秋風ジュニアを制覇。ネクストスター笠松では差し切り勝ち。渡辺騎手はゴールの瞬間、ガッツポーズも出た。「会心のレースでした。筒井さんとの一騎打ちを楽しんで、負けないと追ってました」。地元生え抜きのスターホース誕生に多くのファンを喜ばせた。ヨサリの石川オーナーは「他の地区からも強い馬がたくさん入ってくる中で、地元デビューで頑張れたのでうれしかった。(明け3歳になりますが、今年の走りも)楽しみにしています。これからも応援よろしくお願いします」とさらなる活躍に期待を寄せた。

新緑賞でゴーゴーバースデイとのコンビで重賞初Vを飾った明星晴大騎手

 新緑賞を勝ち、3歳最優秀馬に輝いたゴーゴーバースデイを管理している後藤佑耶調教師は「伏兵かなと思っていたので、うれしかったです。結構、力を付けてきており、どんどんÅ級の馬と戦うことになりますけど、末永い活躍ができるよう頑張ります」と愛馬の成長を期待した。

 ブルーリボンマイルでは最低人気で10着に終わったゴーゴーバースデイだが、先行力は魅力。ファンは「明星騎手のおかげで新緑賞を勝った。うまい手綱さばきが光った」と活躍をたたえた。重賞初制覇の明星騎手はデビュー1年目には、特別表彰(新人騎手)にも輝いている。
 
 調教師、騎手、厩務員ら厩舎スタッフをはじめ、競走馬を預けるオーナーさん、競馬組合、馬券を買って応援するファンらに支えられている笠松競馬。他地区での重賞Vやダートグレード競走参戦へ、笠松競馬を愛する全てのホースマンが一丸となって、全国レベルの競走馬を育て上げていきたい。


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 「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」に続く第4弾「挑戦編」では、笠松の人馬の全国、中央、海外への挑戦を追った。巻頭で「シンデレラグレイ賞でウマ娘ファン感激」、続いて「地方馬の中央初Vは、笠松の馬だった」を特集。

 林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、196ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品にも。