聖地巡礼の「ウマ娘」ファンらも熱視線。アンカツさん(安藤勝己元騎手)らが愛用した勝負服や名馬の優勝レイなど「お宝グッズ」を集めた新年企画「干支 午・馬・ウマ展」が笠松町歴史未来館で開かれており、人気を集めている。入場無料で2月1日まで(9~17時、月曜休館)。
「馬の町」でもある笠松町ならではの特別展。オグリキャップ展(2021年)、ラブミーチャン展(23年)に続き「名馬、名手の里・笠松競馬」の歴史と魅力を紹介している。
■有馬記念のオグリコール、日本の競馬史上最高の名場面
ウマ年といえば36年前。オグリキャップのラストランとなった有馬記念Vで伝説となった「オグリコール」が響き渡り、日本の競馬史上最高の名場面として今も語り継がれている。その感動的なシーンはテレビ番組でも年末を彩る風物詩のようになっており、昨年末には「オグリの里」で掲載したオグリキャップ笠松デビュー戦などの写真を、NHKと民放2社の特番に提供した。引退式は笠松競馬場でも開かれ、土手にも人があふれて3万人以上が「アンカツ&オグリキャップ」の最後の雄姿を目に焼き付けた。
■優勝馬との思い出のシーンや「ウマ娘グッズ」など含め約210点展示
今回の企画展はアンカツさんが全面協力。提供された所蔵品には、全日本サラブレッドカップや東海ダービーなどを制覇した優勝馬との思い出のシーンが詰まっている。騎乗したオグリキャップをはじめフェートノーザン、ライデンリーダー、レジェンドハンターなどの活躍ぶりをパネル写真で回顧。レース映像も視聴できる。
アンカツさんのほか、ラブミーチャンの馬主・小林祥晃(Dr.コパ)さん親子、Cygames、柳江仁厩舎、笠松競馬愛馬会、県地方競馬組合が展示協力。ドローンで撮影した厩舎の移転・集約状況を伝えるパネル写真などもある。同館では「アンカツさんやコパさんに協力していただき、深沢杏花騎手の人気にもあやかって」と展示品は盛りだくさんで「ウマ娘グッズ」なども含めて全体で約210点が並んでいる。
■「シングレ」主役オグリキャップの等身大パネル
入館すると「ウマ娘シンデレラグレイ」の主役オグリキャップの等身大パネル(新笠松音頭を踊った時の衣装)でお出迎え。スマホなどで記念写真の撮影を楽しむことができる。2階展示室には、名手の愛用品や名馬たちの栄光の写真がどっさり。オグリキャップのラストラン・有馬記念Ⅴのゼッケン「8」には武豊騎手、アンカツさんの直筆サイン入り。ライデンリーダーの蹄鉄なども貴重。ラブミーチャンのコーナーには全日本2歳優駿の優勝パネル、ゼッケン、メンコ、浜口楠彦騎手の勝負服などが並んでいる。
■10代のアンカツさん、初々しい姿
続いて笠松から中央へと駆け抜けたアンカツさんコーナー。笠松デビューは16歳の秋。新人騎手限定競走時やデビュー直前の初々しい姿もパネル展示されており、10代の勇姿はとても貴重でまぶしい。
写真だけでなく、記録を更新し重賞を勝ちまくる名手は活字としても多く登場。オグリキャップが生まれた1985年には、地方競馬通算1000勝を達成。岐阜日日新聞に掲載された「デビュー8年余 重圧克服して快挙」をはじめ、日本ダービ―を制覇した中央時代を含めたインタビュー記事なども興味深い。
ディープインパクトが勝った日本ダービーの集合写真では「アンカツは どこ」とあり、JRAの名手が勢ぞろい。武豊騎手、福永祐一騎手らとダービージョッキーの座を競った。
笠松で開催された「第2回地方競馬騎手招待競走」(78年)では全国の名手が勢ぞろい。当時、ジョッキー戦では佐々木竹見騎手が仕切っていたという。通算7151勝のレジェンドで当時からボス的な存在だった。坂本敏美騎手や柴田高志騎手の姿もある。この頃のエピソードは、若き日の写真を見ながら「アンカツが笠松競馬所属時代を語る」(笠松競馬ちゃんねる)で視聴することができ、面白い話が聞ける。
■「シングレ」名場面やトレーディングカードも
「ウマ娘シンデレラグレイ」のコーナーには、名場面でもある笠松競馬場内特設ステージ、飲食店、笠松みなと公園などの写真を展示。笠松町が配布したトレーディングカード全12種類、アンカツさんやオグリキャップのカードも並べられている。
アンカツさんが騎乗した名馬コーナーには、中央GⅡ馬のライデンリーダー、レジェンドハンター、「女オグリ」と呼ばれた女傑マックスフリート、東海ダービー&ダービーグランプリ馬のトミシノポルンガなどのゴールシーンや口取り写真がずらり並んでいる。
■全日本サラブレッドCでイナリワンに圧勝、「勝利の証し」保管
聖地巡礼ファンも注目する逸品は、88年の第1回全日本サラブレッドカップを制覇したフェートノーザンの優勝レイ。マーチトウショウの優勝レイ(岐阜王冠賞)は笠松駅の「ふらっと笠松」に飾られているが、フェートノーザンの「勝利の証し」も保管されていたのだ。オグリキャップが中央入り後の笠松を背負って重賞を勝ちまくったフェートノーザン。アンカツさんは栗東での引退会見で「笠松時代で一番印象に残る馬」としてその名を挙げていた。帝王賞(大井)やブリーダーズゴールドカップ(札幌)も勝っており、オグリキャップ以上の存在だったのだ。
アニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」の作中では「フェイスノーモア」として登場。第1回全日本サラブレッドカップではアンカツさんの手綱でイナリワン(中央入り後にGⅠを3勝)に圧勝した。奥村智彦館長は「当初、フェートノーザンの優勝レイは端っこに置いていましたが、すごく貴重なもので『もっと目立つ所に』という声があった」とレース写真などと一緒に展示した。全日本サラブレッドカップのレース映像はユーチュブで視聴することもできる。
快速娘ラブミーチャンの展示は全日本2歳優駿、東京スプリントなどの優勝レイや「でら馬スプリント」の優勝カップがずらり。ライデンリーダーが笠松・ジュニアグランプリを制覇した時の優勝レイも披露された。岐阜県のイラストレーター信天さん作の「アンカツ笠松昇龍伝説」では、天下取りを夢見る16歳少年の姿も描かれている。近くには笠松現役の深沢杏花騎手のサイン入り写真パネル(プレゼント対象)も彩られており華やかだ。
■ファン「有馬記念を2回も勝ってくれて怪物だった」
レース映像はオグリキャップ、ライデンリーダー、ラブミーチャンの3頭。オグリキャップの前では熱心なファンが「笠松から巣立って有馬記念を2回も勝ってくれた。2着か3着でもいいと思ったラストランも制して『怪物』だった」とレース映像を見ながら、笠松発のサクセスストーリーが誇らしげだった。
笠松・ジュニアクラウンでは、オグリキャップがハナ差でマーチトウショウを破った。ただ当時の厩務員の証言によると写真判定が異常に長くて「同着」だった可能性もあったという。「芦毛の怪物と勇者たちの激闘史」(パラダイムBOOKS)の笠松担当として巻頭に裏話を出稿した。
笠松競馬の懸案事業である放馬対策。円城寺厩舎から競馬場隣接地への移転・集約は急ピッチだ。ドローンで撮影されたパネル写真が展示されており、分かりやすい。薬師寺厩舎の拡張、旧第2駐車場での新設工事が進められ、来年8月までに完工予定。馬の世話をする厩舎仕事の様子や騎乗時に使う馬具なども紹介されている。
■抽選でアンカツさんのサイン入り勝負服や色紙などプレゼント
企画展開催中は、抽選でアンカツさんのサイン入り勝負服や色紙、ラブミーチャンのイラスト、深沢騎手の写真などが当たる来場者プレゼントを実施中。競馬グッズの販売もあり、桐箱入りで笠松競馬のロゴも入った「蹄鉄升飾り」(2000円)が人気商品。競走馬が実際に使った蹄鉄で愛馬会メンバーが手作りした。笠松競馬の歴史と魅力をアピールしている「オグリの里」1~4巻も販売されており、競馬場への聖地巡礼のお供にどうぞ。ラブミーチャン版「蹄鉄クッキー」は銅像建立記念として笠松菓子組合の5店舗で販売中だ。
■「笠松からまた名馬が誕生することを願って」
オグリキャップとアンカツさんは笠松競馬場育ちの最強コンビ。オグリはクラシック登録がなく日本ダービーに出走できなかったが「追加登録可能」へとルールを改正させた。地方騎手の中央移籍では「アンカツルール」の導入もあった。ファンや関係者の後押しがあって、条件を緩和させたのだ。
圧倒的な強さと存在感から、日本の競馬史をも塗り替えてきたレジェンドの人馬。歴史未来館では「全国から多くの競馬ファンやウマ娘ファンの方にも来場していただいています」と名馬、名手ゆかりのお宝グッズをアピール。競馬ファンからは「展示物、充実していますね」との声も聞かれた。
ウマ年にちなんだ企画展開催で奥村館長は「笠松競馬の昔と今も知っていただきたい。ラブミーチャン以来、強い馬が出ていないので、笠松からまた名馬が誕生することを願っています」と大きな期待を寄せている。
■「笠松競馬場⇔歴史未来館」は聖地巡礼コース
名鉄笠松駅や笠松競馬場から歴史未来館までは徒歩15分ほど。木曽川沿いにはウマ娘シンデレラグレイに登場した笠松みなと公園もある。道中の笠松町役場横には昨秋創設されたラブミーチャン記念像も顔をのぞかせており「笠松競馬場⇔歴史未来館」は聖地巡礼コースになっている。ウマ年でもあり脚力アップと「笠松発、有馬記念の天下取り」を果たした人馬にあやかった運気上昇を兼ねて、ちょっとのぞいてみてはどうか。
☆ファンの声を募集
競馬コラム「オグリの里」への感想や要望などをお寄せください。 騎手や競走馬への応援の声などもお願いします。コラムで紹介していきます。
(筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
☆最新刊「オグリの里4挑戦編」も好評発売中

「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」に続く第4弾「挑戦編」では、笠松の人馬の全国、中央、海外への挑戦を追った。巻頭で「シンデレラグレイ賞でウマ娘ファン感激」、続いて「地方馬の中央初Vは、笠松の馬だった」を特集。
林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、196ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品にも。









