2007年9月、引退後は北海道の優駿スタリオンステーションで功労馬として過ごしていたオグリキャップ

 「僕を応援してくれているファンの皆さん、ありがとう」。3月27日はオグリキャップの誕生日。32戦20勝の現役時代とその後も永遠のヒーローとして輝きを増し続けているスターホース。笠松競馬場に舞い降りた芦毛馬は、熱烈な声援に応えて、天国からずっとファンたちを見守ってくれていることだろう。

  35年前、ラストラン&引退式などで感動したファンからわが家に届いた「オグリキャップ愛」が詰まった手紙を、前回に続いて再現した。

 ■「笠松時代に身に付けた勝負根性」「ぬいぐるみやTシャツ、売れに売れた」

☆東京都北区の女性
 ▶「競馬報知のダービースクエアを拝見しました。笠松時代の専門紙を大切にしていらっしゃるとのこと。大変すばらしく、うらやましく思っています。その頃からオグリの輝ける将来を予見されていたのですね」

2005年4月、笠松競馬場に里帰りしたオグリキャップを見ようと、大きなぬいぐるみと一緒に来場した女性ファン

 「やはりオグリキャップの勝負根性は笠松時代に身に付けたものだったのですね。競馬を初めて6年ぐらいになりますが、中央競馬ばかりで地方競馬は縁がなく、どんな雰囲気か存じません。地方から中央へ移っていく馬を、地方競馬ファンの皆さんはどんな気持ちで見ているのでしょうね。オグリやイナリワンのように大活躍すると、きっとよくやったという感じで私たちとは違う喜びがあることでしょう」

 「私もオグリのぬいぐるみは持っています。誕生日、妹に頼んで買ってもらいました。体長25センチぐらいのやつです。黄色の覆面とゼッケンです。今度、ゼッケン8のぬいぐるみが出るそうですね。引退式を見に府中に行きましたが、ぬいぐるみやTシャツ、ジャンパー、ビデオなどすごい人だかりで売れに売れたそうです」

1989年11月のジャパンカップ、ホーリックスを追撃したがクビ差届かなかったオグリキャップ。GⅠ連闘で2着と激走した(JRA提供)

 「私が一番印象に残るオグリのレースはジャパンカップ(89年)でしょうか。自分の目の前で見たこと。「2-2」(枠連)を買っていたこと。65倍ぐらいだったでしょうか(6760円)。直線の追い上げでは絶叫しました。ビデオでこのレースを見るたびに、結果は分かっているのに手に汗握って『行けー!』と叫んでしまいます。それからオグリの生涯でベストレースといえるのは、マイルCS(89年)ではないでしょうか。もうだめだと思ったのにハナ差。その根性は恐れ入りました。南井騎手のコメント『借りを半分返したので、JCで残りを(倍にして)返す』の言葉にも感動したものです。他にもラストランの有馬記念、88年の有馬記念、タマモクロスに負けた天皇賞などいろいろ好きなレースがあります」

 「それからビデオで見たゴールドジュニア(笠松)には驚きました。どろどろのダートを2馬身半ぶっちぎり。初めて見たときは『強いー』と叫んでしまいました。ダートを走っているのを見たのは初めてでしたし。馬券は10倍以下のものは基本的に買わないことにしているので、オグリに取らせてもらったことはあまりありません。89年のオールカマーとジャパンカップぐらいでしょうか。種牡馬としてもオグリには成功してほしいですね。大好きだったダイナアクトレスとの子どもが出てきてくれたりすると、どんなにうれしいことでしょう」

 ■「京都での引退式、すごい人で動けなかった」

☆京都市西京区の10代男性
 ▶「私は学生なのでまだ馬券は買えません。家が京都競馬場の近くにあるので、よく応援しに行くんですよ。1月13日の引退式にも行ってきたんですが、朝早く出たつもりが、すごい人で動くこともできませんでした。笠松も超満員だったそうですね。初めてテレビでオグリを見たのは、88年の天皇賞からでした。中3の高校受験にもかかわらず勉強もしないで見ていたのを覚えていますが、中央のペガサスS~毎日王冠、公営時代のオグリは知りません」

1991年1月、笠松競馬場での引退式では、安藤勝己騎手を背に場内を周回したオグリキャップ

 「オグリが現れるまで地方競馬といえば大井しか知らなかった私も、オグリのおかげで地方競馬のことを少し知ることができました。また『マル地』(地方競馬出身馬)を見ると一つ格が落ちると考えていたのも、オグリ(イナリワンも)を見て、マル地馬を見直しました。ダイコウガルダンやスイフトセイダイ(大井)、それに笠松の方にも『女オグリキャップ』と呼ばれているマックスフリートという馬もいるそうですね。世間的にもオグリによって地方競馬にも相当スポットライトを当てられたように思います」

 「最近ではテレビで何かと笠松競馬場がよく出てきますが。でも今年に入って本当に競馬が寂しくなりました。次はどんな馬が競馬を盛り上げてくれるのでしょうか。もうオグリのような馬はしばらく(二度と?)現れないでしょうね。父を超えるオグリ二世を期待しましょう。3年後には私もちょうど二十歳で馬券を買える年齢になります。単勝馬券を手に応援するつもりです」

 ■「素晴らしい脚でゴール。公営では英雄でしたよね」

☆東京都稲城市の女性
 ▶「笠松の頃のオグリも新聞などで見かけたこともありましたが、よくは知りません。オグリのデビュー当時を知りたいので全レースの専門紙のコピーでも、お話でもいいのでお聞かせください。笠松の頃は他馬に比べ物にならないくらいの素晴らしい脚を使ってのゴール。まさに公営では英雄でしたよね。本当に速い」

1988年11月、安藤勝己騎手の騎乗で東海菊花賞を制覇したフェートノーザン(安藤勝己氏所蔵品)

 ■「フェートノーザンは砂の王者」

☆静岡の20代男性
 ▶「私が見たフェートノーザンのレースは帝王賞の1戦だけですが、JRAと南関東以外に、あんなものすごい脚を使う馬がいるとは思ってもいなかったのでショックでした。大井の深い砂を直線だけで勝ってしまう馬がいたとは。東海菊花賞、全日本サラブレッドカップを圧勝した馬で、その後も68キロを背負って勝ったことを知った時、まさしく砂の王者を見ていたのだと感じました」
 
 「しかし、2連覇を確信していた全日本サラブレッドカップで、事故のことを知ったのでした。せめて命だけは助かってほしい…。その後、新聞に書かれていたのは…。ブリーダーズCでも辛勝でしたし、68キロ(笠松・ローレル争覇)の影響があったのではないか。ダート史上最強馬はフェートノーザンであると信じて疑いません」

 「オグリのレースでは高松宮杯、2度目のジャパンC、安田記念が印象に残っています。そして何といってもファイナルレース。あの奇跡は一生忘れることはないでしょう。確かにシンボリルドルフやタマモクロスのように、全力で走らない部分がある馬の方がレースには勝てるでしょう。しかし(オグリキャップのように)あのレースごとに力を出し切り、しかもタフに走り続ける姿は、成績面では超一流一歩手前としても、十分名馬に値すると思います。本当に忘れられない一頭です」

東京競馬場でのオグリキャップ引退式にも多くのファンが殺到した(競馬ブック提供)

 ■「引退式の朝、千人を超す人たちが門の前にいた」

☆東京都千代田区の男子高校生
 ▶「(送ってもらった)専門紙を見て改めてオグリキャップの強さをヒシヒシと感じました。掲載の仕方が競馬ブックみたいですね。笠松は地方競馬の中でもレベルが高いそうです。私の方の大井などの南関東は最悪で、この前なんか、混合レースでアラブがサラブレッドに勝ってしまうぐらいです。でもそんな所からも大井が生んだイナリワンがいましたからね。イナリも引退してしまったけれど、二世がターフを走るのが楽しみです。そして父のようにオグリ二世を苦しめるでしょう」

 「私も今年の4月で高校3年生になってしまいます。いよいよ受験戦争に突入するわけです。つまり大好きな競馬をやめなければなりません。私にとって非常にツライことなのですが、なんとしても大学に合格してまた競馬を楽しみたいです」
 
 「最後に府中でのオグリキャップのラストラン(引退式)の写真を送ります。この日は朝の5時に友人と家を出て、6時25分に着いたのですけど、その時には既に千人を超す人たちが門の前にいました。私たちはウイナーズサークルをあきらめて指定席を取りました。引退式の時には7万人を超えていました。本当に感動しました」

オグリキャップのベストレース1番人気は1990年の有馬記念

 ■笠松で最多の10レース、1万1600メートル駆け抜けた

 わが家に届いて眠っていた手紙の一部を紹介しました。当時のオグリキャップファンの熱い思いを伝えたいと公開させていただきました。レース映像のビデオが送られてきたり、交流を通して京都競馬場で一緒に天皇賞・春を観戦したこともありました。メジロマックイーンが武豊騎手の騎乗で圧勝し、芦毛馬が強い時代でした。
 
 あれから35年。「オグリの里」は当初、20回ほどの連載予定でしたが、10年も続けてこられたのは、やはり聖地・笠松競馬場を愛するオグリキャップファンたちに支えられてのことで、とても感謝しています。ウマ娘トレーナーの皆さんもオグリキャップ像とのツーショット写真を撮影に来てください。

 新たなオグリキャップ特番の動きもあり、NHKの看板番組の一つ「新プロジェクトⅩ」が始動(放送は未定)。笠松時代からの追っ掛けファンの一人としてハヤヒデも取材を受けました。笠松競馬場内のスタンドにディレクターさんも来場されて雑談。当地でのオグリキャップのレースぶりについて、常連さんたちとも話し合う機会がありました。

 笠松でのレース映像は秋風ジュニアからで、5戦目の800メートル戦までは残っておらず。スタンドのファンたちの記憶も薄れてはいたが、キャップは笠松競馬場で最多の10戦。距離にして計1万1600メートルも駆け抜けた。早朝の攻め馬では連日、同じコースをぐるぐると走り続けていた。キャップが競走馬として育った聖地・笠松。昭和モードの古びたスタンドに座っていると「キャップがここを走ったんだなあ」と感慨深く、4コーナーを回って先頭でゴールを駆け抜ける雄姿が浮かんでくる。

笠松競馬場の開門ととともに入場するファン。オグリキャップ像の近くでは「オグリの里」の即売会が開かれた

 ■「オグリのベストレース」90年・有馬記念断トツ(23年12月)(25年5月)

 笠松競馬場内では年に10日間ほど「オグリの里」即売コーナーも開設。これまで「オグリのベストレースといえば○○だ」(1、2回)や「オグリのライバルといえば〇〇だ」(1~3回)の人気投票も実施してきた。総合順位を集計してみると、ベストレースはやはり感動のオグリコールが響き渡ったラストラン・有馬記念(1990年)がぶっちぎりで1着ゴールを決めた。2位はマイルCS(89年)、3位にはジャパンC(89年)が続いた。

★「オグリのベストレース」投票結果(第1、2回) 
             ①  ②  計
①有馬記念(90年)    62  18  80
②マイルCS(89年)   24  6  30
③ジャパンカップ(89年) 13  10  23
④有馬記念(88年)    3  4  7
⑤毎日王冠(89年)    5  1  6
⑥安田記念(90年)    2  2  4
⑦天皇賞・秋(88年)   2  1  3
⑦高松宮杯(88年)    2  1  3
⑨NZT (88年)    2  -  2
⑩中京盃(87年)     -  1  1
⑩Jクラウン(87年)   1  -  1

オグリキャップのライバル、1番人気はタマモクロス

 ■「オグリのライバル」はタマモクロスⅤ3

 オグリのライバルは「芦毛対決」のタマモクロスが大差のトップ。2位はシングレ人気もあってマーチトウショウが追い上げ、5位から躍進。3位スーパ-クリーク、4位はイナリワン。「平成3強」の2頭が続き、ホーリックスも同着となった。
 
★「オグリのライバル」投票結果(第1~3回)
          ①  ②  ③  計
①タマモクロス   26  18  17  61 
②マーチトウショウ 4  4  16  24
③スーパ-クリーク 5  8  6  19  
④イナリワン    6  3  4  13
    ホーリックス   4  5  4  13      
⑥バンブーメモリー 3  5  2  10         
⑦ハクリュウボーイ 3  2  -  5
    ヤエノムテキ   1  1  3  5
⑨フジノノーザン  1  0  3  4
 メジロライアン  1  -  3  4 
 
⑪ホワイトストーン -  1  2  3
⑫ペイザバトラー  -  1  1  2
 武豊               -  1  1  2
   ノルンエース    -  2  -    2
⑮ランニングフリー -  1  -  1
 オサイチジョージ -  1  -  1
 トミシノポルンガ -  -  1  1
 サッカーボーイ  -  -  1  1
 シリウスシンボリ -  -  1  1
 ランス・オサリバン-  -  1  1
             (-は得票なし)

「推しウマ娘は〇〇だ」に投票するファンたち

 ■4月28日から4日間、新刊「第5巻・青春編」の即売会

 笠松競馬場内での「オグリの里」即売会。次回は4月28日~5月1日の4日間で、聖地編など1~4巻のほか、新刊「第5巻・青春編」を発売します。オグリキャップをはじめ、ストーミーワンダー、アオラキ、ハマちゃんら完全燃焼した人馬たちへの「惜別」の思いも込めた一冊となります。また巻頭などを担当した新刊「芦毛の怪物と勇者たちの激闘史」(パラダイムBOOKS)も販売。マーチトウショウとの笠松時代のライバル対決をはじめ、初めて明かされたジュニアクラウンでの裏話など興味深い内容となっています。

 即売コーナーでは、昨年も大好評だった「推しウマ娘は○○だ」の第3回人気投票を実施。ウマ娘キャラに限定し「シンデレラグレイ」に登場した笠松勢(ベルノライトやノルンエース)も対象で、今年も多くのファンに投票していただきたい。4月28日~5月1日(1日1人2票まで)。昨春の第2回投票結果は次の通り。

★第2回「推しウマ娘は〇〇だ」ベスト20
            
 ①(1)オグリキャップ   141票   
 ②(13)タマモクロス    37票 
 ③(4)サイレンススズカ  35票 
 ④(26)トウカイテイオー  32票 
  (3)ライスシャワー   32票 
 ⑥(35)マチカネタンホイザ 26票 
 ⑦(21)ダイワスカーレット 25票 
 ⑧(16)ミスターシービー  23票 
 ⑨(35)オルフェーヴル   22票
  (16)メジロマックイーン 22票 
 
 ⑪(89)テイエムオペラオー 21票
  (6)ゴールドシップ   21票
  (4)キタサンブラック  21票
 ⑭(9)アグネスタキオン  20票
  (26)ナイスネイチャ   20票
 ⑯(9)シンボリルドルフ  19票
  (26)サトノダイヤモンド 19票
 ⑱(-)スペシャルウィーク 18票
 ⑲(47)マヤノトップガン  17票
  (89)メジロアルダン   17票
     (かっこ内は第1回順位)


 ☆ファンの声を募集

 競馬コラム「オグリの里」への感想や要望などをお寄せください。  騎手や競走馬への応援の声などもお願いします。コラムで紹介していきます。
 (筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
 
 ☆最新刊「オグリの里4挑戦編」も好評発売中

 「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」に続く第4弾「挑戦編」では、笠松の人馬の全国、中央、海外への挑戦を追った。巻頭で「シンデレラグレイ賞でウマ娘ファン感激」、続いて「地方馬の中央初Vは、笠松の馬だった」を特集。

 林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、196ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品にも。