「カサマツ、おかえり!」。ウマ娘を応援、育成中のトレーナーの皆さん、オグリキャップデビューの地である聖地・笠松競馬場へようこそ。
ウマ娘シンデレラグレイ賞などコラボレース&イベントは5回目を迎え、笠松町や岐阜県も「ゲートイン」。県、町ぐるみのビッグイベントとして進化しつつあり、オグリキャップの魅力を「観光資源」として生かす活性化策が芽生えてきた。聖地に降臨した声優さんのトークショーもあり、場内を埋め尽くしたウマ娘ファンを熱狂させた。
「オグリの里」のコラムは連載10周年を迎えたが、書籍化したのが3年前。「ウマ娘シンデレラグレイ賞」のコラボレースやイベントで来場する若いファンらに、笠松競馬の歴史や魅力をもっと知っていただきたいと、場内で即売会を開いてきた。4月28日には第5巻・青春編を発刊。これからも聖地巡礼で全国から訪れるウマ娘ファンと共に笠松競馬場を盛り上げていきたい。
■グッズ販売やトークショー人気、国内最大規模の「競馬場ウマ娘コラボ」
第5回ウマ娘シンデレラグレイ賞。C級特別の1着賞金は60万円で、第1回の40万円より上がったが、メイン「飛山濃水杯」の1000万円に比べるとかなり低い。それでもグッズの販売や声優さんのトークショーが人気で、コラボイベント全体での集客力は半端ない。飲食店ご当地グルメの串もの、どて煮、きしめん、焼きそばなどは「安くておいしい」と評判だ。大食いのオグリキャップファンらが押し掛け、食べ尽くされる恐れ?もあったが、食材は十分に用意されていたようだ。
今年の入場者は8844人と昨年の1万168人には及ばなかったのは意外だったが、これは第一にウマ娘コラボイベントが全国各地の競馬場などで分散化したこと。第二に昨年(4月29日)は地方開催が計4場だったのに、今年は門別、水沢でもレースがあり計6場に増えたこと(馬券販売額にも影響)。さらに滋賀県大津市では福永祐一調教師、武豊騎手らが参加した引退馬イベント(29、30日)があり、声優さんとのトークショーも開かれていた。
それでも入場者数は第1回の4634人、第2回の3043人と比べれば2倍以上。イベントだけでなく、シングレの原風景を体感できて芦毛・白毛馬によるコラボレースも開かれることは笠松競馬の大きな魅力。国内最大規模の「競馬場ウマ娘コラボ」としてすっかり定着しており、トレーナーさんのシングレ愛と関係者らの努力の賜物である。
■シングレ聖地「笠松みなと公園」に待機列
ところで毎年、運営側が頭を悩ませてきたことは、開門前の早朝からファンが押し寄せることによる入場問題。昨年までは競馬場西側の旧第2駐車場近くで午前7時半から「待機列」を形成し、開門に備えてきた。ところが、今年は厩舎新築工事のため駐車場が移転。待機列はシングレにも登場する聖地である木曽川河畔の「笠松みなと公園」に変更された。
これまでより1時間遅く、午前8時半から待機列を形成。「シングレ」で描かれた景色を満喫しながら、名鉄鉄橋下から競馬場西へのルートで500人以上のウマ娘ファンらの長い行列ができた。競馬場正門は午前10時の開門予定が30分早まり9時半になった(ネット上で案内)。
■「クリアうちわ」ゲットにひと苦労も
ところが「オグリの里」が出店する東門は通常通り10時開門だったため、取材のため正門へ猛ダッシュ。既に続々と入場しており、1番乗りのファン(昨年までは3年連続で同じ人)の声が聞けなかったのは残念だった。
お目当ての一つである「クリアうちわ」は、事前予約し「交通系ICカード」で名鉄笠松駅を下車した人に、特典として1枚プレゼントされた。ただ、近場のファンや車で来た人は、遠回りして電車に乗って来場しなければならず課題も残った。駐車場には愛知をはじめ関東、関西など遠来のファンも多かったが、車を止めて笠松駅へ向かう姿も。クリアうちわゲットのため、わざわざ電車で1区間往復した人もいたのだ。
名鉄笠松駅では記念乗車券やミニ系統板マグネットなどコラボグッズも発売され、早朝からすごい行列ができて売れ行き好調だった。
■フォトスポット、岐阜県は「花のゲート」
正門からの入場者たちは早速、オグリキャップの銅像の前で記念撮影。今年のウマ娘コラボパネルはオグリキャップ1体だったが、その存在感は圧倒的。パネルは特設ステージや東門近くにもフォトスポットとして設置され、人気を集めていた。
4日間のコラボイベント期間中、場内ポップアップストアなどでは、浴衣姿でお祭りを楽しむオグリキャップらの描き下ろしイラストグッズなどを販売。競馬専門紙「エース」「東海」や飲食店などでは売店購入者特典としてコラボポストカードも配布。東門近くではアニメイトカフェやキッチンカー、小栗孝一商店、「CCN笠馬X」などが並びにぎわった。
岐阜県は県産花きをPRしようとバラ、ガーベラなどで高さ約2メートルの「花のゲート」を東門前に設置。オグリキャップをイメージした白、青色などの花約1500本や風船を飾り付け、来場者向けに撮影台も設置した。ラストラン有馬記念Vでは、 岐阜県を全国にアピールした功績がたたえられ「県スポーツ栄誉賞」にも輝いた名馬。多くの人がフォトスポットで記念写真を撮ったりして笑顔があふれていた。3日間続けられ、最終日には飾った花の数々が来場者にプレゼントされた。
笠松町もコラボイベントに全面協力。町内の各店では、利用者にコラボトレーディングカードを配布(8月31日まで)。コラボグッズの販売や「町内出走」のスタンプラリー、ラッピングバスの町内走行・展示などにぎやかに開催中。ウマ娘コラボで笠松町内を染め上げており「勇気と元気」を与えてくれるオグリキャップは貴重な観光資源としても有効活用されている。
■笠松町長もウマ娘コラボで町をアピール
競馬場内では笠松町も出店し、古田聖人町長自ら「カサマツ篇舞台探訪マップ」を配布。「全国から若い人らに来ていただけてうれしい。笠松町にはいっぱい魅力があるので知ってもらいたい」とアピール。家族連れらが多く訪れ「ガチャガチャ」なども楽しんでいた。コラボグッズは笠松町役場でも特設販売。町の活性化を願い「トップセールス」でウマ娘コラボにも尽力されている。
西スタンド2階の展示室では「ウマ娘シンデレラグレイ」序章カサマツ篇の名場面を振り返り、パネルなどを展示。オグリキャップが中央移籍を決めたゴールドジュニアでは、トレーナー北原穣との「オグリ、走るんだ~」「私、勝っちゃうよ」の感動的シーンも回顧。最後は登場人物が中央スタンド前で「ありがとう カサマツ」。多くのシングレファンがスマホなどで撮影しながら熱心に見入っていた。
■大食いキャラで記念レース、コラボのポストカードも配布
オグリキャップといえば大食いキャラ。4Rで「どて煮食べ過ぎだよオグリ記念」、5Rでは「今年もきしめん食べたなタマモ記念」も開かれた。場内飲食店やキッチンカー、専門紙「競馬エース」「競馬東海」、競馬グッズ販売店ではウマ娘コラボのポストカードが配布され、早々となくなる店もあった。
1年目は1R前に人気グルメの食材が一気になくなったり、投票のマークカードが足りなくなったが、5回目ともなればまずまずの流れ。店の前や馬券購入時の長い行列にも割り込んだりするトラブルは見なかったし、ウマ娘ファンはいつも皆さんお行儀がとても良い印象だ。
■「レース名が印字された記念馬券欲しい」でも発売機足りず
コラボグッズの購入は「予約制」もあって、比較的スムーズな流れで目立った混乱はなかった。ただ8800人超えで普段の10倍ほどの入場者数。馬券購入の面で発売機は明らかに足りておらず、買えないお客さんが続出していた。「ネット馬券じゃなく、レース名が印字された記念馬券が欲しい」というウマ娘トレーナーさんたちにも優しいファンサービスが求められているのだ。
馬券のマークカードへの記入方法や買い方に不慣れな若者が多いこともあった。競走馬はまだパドックにいる時間帯だが「締め切り10分前には並ばないと買えない」といった声も聞こえてきた。
地元ファンらも「経費をけちらないで、発売機をもっと増やすべきでは」と強く主張していた。笠松本場での馬券売り上げは全体の2%程度(前年度)と少ないが、聖地巡礼で全国から来場した笠松愛あふれるファンらの期待に応えるためにも、もっと馬券を買いやすいように改善するべきだろう。
これは馬券の販売額アップにも直結すること。現状は年に1日だけの大混雑かもしれないが、臨時の発売機を特設するなどして、多くのファンが馬券を買えないという異常事態を解消してもらいたい。
■オグリキャップ記念トライアルの飛山濃水杯は高知のジュゲムーン制覇
ウマ娘シンデレラグレイ賞は松本一心騎手がギンノアラナミで豪脚V 。最終11Rはオグリキャップ記念トライアルの「飛山濃水杯」(1400メートル、SPⅠ、西日本地区交流)。岐阜新聞社・岐阜放送賞で、1着賞金は1000万円に倍増され、オグリキャップ記念のダートグレード競走復帰へ一歩前進した。
高知や兵庫からも強豪が参戦。3番人気の高知・ジュゲムーン(牡4歳、田中守厩舎)が赤岡修次騎手の手綱に応えて好位から押し切った。昨年の覇者フクノユリディズ(兵庫)が逃げ、ジュゲムーンが追う展開。3コーナーで先頭を奪い、1番人気タガノエスコート(兵庫)に1馬身差をつけてゴールイン。3着に名古屋のケイズレーヴ=木之前葵騎手=が突っ込んだ。笠松勢ではグスタールの6着が最高だった。
勝った赤岡騎手は「スタンド前のパドックでテンションが高く、ゲート裏では電車の音にかなり敏感に反応していましたが、大外で良かった。2番手からすんなり行け、早めに動いて押し切れた。たくさんのお客さんが来場され、僕もびっくりしました。そのファンの前で勝てて良かった」と喜びをかみしめた。ジュゲムーンとタガノエスコートの1、2着馬がオグリキャップ記念への優先出走権を獲得した。
レース後には、中央スタンド前でウマ娘の声優さんによるトークショーへとなだれ込んだ。トレーナーたちにとっては「俺たちのメインレース」でもあり、歓声と熱気に包まれた。(次回に続く)
☆ファンの声を募集
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(筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
☆最新刊「オグリの里5青春編」も好評発売中

「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」「4挑戦編」に続く第5弾「青春編」では、笠松競馬場などでの「砂上の格闘技」で完全燃焼した人馬たちへの惜別の思いも込めた。巻頭はシンデレラグレイ賞&トークショーでのウマ娘ファンの熱狂ぶり、続いて日本競馬界最大のヒーローであるオグリキャップ、アオラキ&ハルオーブ、ストーミーワンダー、ハマちゃんなどを特集。
林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、182ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、笠松町歴史未来館、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品。









