ウマ娘シンデレラグレイ賞はギンノアラナミに騎乗した松本一心騎手が制覇した               

 「行けー」「来ーい」とウマ娘ファンの大声援が飛び交った。最後の直線、とても届きそうもない位置からディープインパクトのような切れ味。大外一気、すごい脚で飛んできた芦毛の一頭がゴールを突き抜けた。

 「作戦がはまりました。ハハハッ」と鞍上の貴公子。第5回を迎えた芦毛・白毛馬限定の「ウマ娘シンデレラグレイ賞」はドラマチックな結末となった。6番人気のギンノアラナミ(牡5歳、加藤幸保厩舎)に騎乗した20歳の松本一心騎手が鮮やかな手綱さばきで豪快に差し切りⅤを決めた。ラストは5頭ほどが並び大混戦となったが、芦毛馬による「銀の荒波」を乗り越えて圧巻の勝利となった。

シンデレラグレイ賞でパドック前に整列した騎手たち

 ■スタンドやラチ沿い埋め尽くして、芦毛馬たちに熱視線と声援

 オグリキャップの聖地では4月28日~5月1日の4日間、アニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」×笠松競馬場コラボイベントを、集英社とCygames(サイゲームス)の全面協力で岐阜県地方競馬組合が開催した。メインの29日にはコラボ4レースや重賞の飛山濃水杯(全て1400メートル戦)、声優さん4人によるトークショーでウマ娘ファンらが熱狂した。

 普段は1000人超えが珍しい笠松競馬場だが、この日はスタンドもラチ沿いも全国から集結したウマ娘推しのトレーナーさんたちで超満員。入場者数は昨年の1万人超えには及ばなかったが、8844人(公式入場者数)が詰め掛けた。

シンデレラグレイ賞の返し馬を見守るウマ娘ファンたち。手前は誘導馬のマカロン

 馬体が徐々に白さを増していく芦毛馬だが、笠松では少数精鋭でウマ娘シンデレラグレイ賞(C級特別)に登場したのは8頭。2年連続の出場はなかなか厳しく、ジョッキーの連覇もまだない。誘導馬のマカロンに先導されてパドックを周回。マイクロバスで到着したジョッキーたちがファンに向かって一礼。早速、騎乗馬にまたがると本馬場入り。スタンドやラチ沿いを埋め尽くし、カメラやスマホを構えたファンたちが芦毛馬たちに熱い視線と声援を送った。入れ込み癖のある馬も多かったのか3頭が装鞍所騎乗。返し馬でラチ沿いを通り、雄姿を披露した芦毛馬が今年は1頭もいなかったのはファンサービスの面で残念だった。

シンデレラグレイ賞で一斉にスタートした芦毛馬8頭

 ■松本騎手の右ムチに応えて末脚爆発

 シングレ賞は8頭がきれいにそろってスタート。サツキバラード=明星晴大騎手=がハナを奪い、向正面から先団5頭が激しく競り合って前つぶれの展開。ギンノアラナミは2コーナーでは後ろから2番手にいたが、3~4コーナーで徐々に追撃を開始。松本騎手の右ムチに応えて末脚爆発。

最後の直線。大外一気の末脚で追い上げるギンノアラナミ

 残り100メートルから切れ味鋭く、前の各馬をまとめて差し切った。ただ1頭ラスト3F38秒台の豪脚で、ミラクルム=高木健騎手=に1馬身差をつけて勝利。最後の直線ではウマ娘ファンの歓声も最高潮。ゴールイン後、優勝馬は 大きく首を揺すって誇らしげに勝利の味をかみしているかのようだった。

シンデレラグレイ賞、1着でゴールするギンノアラナミ

 ■「外々を回って、馬場が軽く展開がはまった」

 ウマ娘ファンの注目度が最も高いシンデレラグレイ賞だが、表彰式は行われないので装鞍所エリアへダッシュ。口取り撮影後、松本一心騎手に喜びの声を聞いた。

 -ウマ娘シンデレラグレイ賞をギンノアラナミで勝った気持ちは。
 「同じ厩舎の馬が3頭いたんで(加藤幸保厩舎)、なんかうまく作戦がはまりましたね。計算通りでした。僕に展開が向くようにうまいこといきました」

シンデレラグレイ賞を制覇したギンノアラナミと喜びの松本一心騎手ら

 -道中は何番手からでしたか。
 「すごく後ろの方からになり(8頭中、7番手)、外からまくっていく予定でした。外々を回って、馬場が軽いのもあって展開がはまりましたね」

 ■「ファンが多く、やっぱり気持ちいいですね」

 -芦毛馬ばかりのレースで、ファンの声援もすごかったですよ。
 「どんな感じとかは特にないです。(集中していて)声援も特に聞こえなかったです」

 -騎乗馬のどんなところが良かったですか。
 「結構(他の馬に)邪魔されたんですけどねえ。向正面でも3~4コーナーでも丸山さんの外を回されたが、(末脚を発揮できて)逆にそれが良かったのかも」

 -この馬では4勝目で相性がいいですね。
 「昨年は条件も良くて三つ勝ったんですが、休養から帰ってきてパッとしない成績でした。でも(ここ2走は3、4着で)それなりには来てました」

 -好騎乗でしたね。ウマ娘ファンが多いレースでしたが、どうでしたか。

シンデレラグレイ賞勝利後の検量を終えた松本一心騎手

 「やっぱり気持ちいいですね。(パトロールビデオを見ながら)3~4コーナー、この辺では全然進んでいかなくてもうダメかと思った。砂をかぶっちゃって、あまり良くないですが。(最後の直線に入って大外で)砂をかぶらなくなって、グンとエンジンが掛かった。届くか届かないかぐらいでしたが」

 直線で先頭に立ったミラクルムが押し切るかという展開だったが、ギンノアラナミがすごい脚で差し切った。最後、馬の力を信じて追った松本騎手の好プレーが光ったレースだった。重賞ではないが、熱狂的ファンの多いレースで5代目チャンピオンとして名前も残る。ギンノアラナミはまだ5歳。来年もまだC級にいたら、松本騎手との名コンビで連覇を狙ってほしい。

スタンド前も多くのファンで埋まった笠松競馬場

 ■ウマ娘ファン「白い馬とか、ばえますね」

 シンデレラグレイ賞後、スタンドで熱い声援を送ったウマ娘ファンたちにもレースの感想などを聞いた。

 ゴール近くの東スタンドにいた2人組の男性。大阪から車で来た30代のファンは「いやあ圧巻でしたね、芦毛だらけで。こんなに芦毛っておったんやと。白い馬とか、ばえますねやっぱり。笠松には何回か来ています。推し馬は誘導馬になったディープボンドですね。レースではあまり賭けてはいなかったんですが、写真を撮ったりして、いろいろと楽しませていただいた。追い込みのレースで、最初は後ろの方だったんですが、直線で一気にガーッと来て大外からまくってきたときは『オーッ』と迫力がすごかったです」。

 ■岐阜県人として「こんなに見に来てくれてうれしい」

 岐阜県垂井町の20代ファンは「元々ウマ娘から競馬を知り始めて、キングヘイローが気に入っています。展開が読めなくて馬券を当てるのは難しいですが、お馬さんが頑張って走る姿は見てても楽しめる。岐阜県の競馬場ですが、普段はこれだけ人がいることがないから、こんなに見に来てくれることがうれしいです」と詰め掛けた来場者にも感謝のひと言を送ってくれた。

 この後、2人は中央スタンド前で開かれた「ウマ娘トークショー」も楽しんだ。

シンデレラグレイ賞でミラクルムを差し切ったギンノアラナミ

 ■20代女性「芦毛が好きだから、限定レースうれしい」

 静岡から来たというカップルにも聞いた。20代の女性は「芦毛が好きです。『ホワイトクリスマス賞』(川崎)とかありますが、笠松でも芦毛限定レースがあってうれしかったです」とにこやか。スーパークリークが推し馬だという30歳男性は「ミラクルムの単勝を買っていましたが、2着になって悔しい結果になりました」。女性も「5番がマイナス14キロだったから(馬券からは)切ったのに3着に来た。3連複を買っていたので」と残念そう。「競馬から先に入って、(やはり芦毛の)ゴールドシップが好き。このレースでもゴルシ産駒(ラヴーシュカ)を買っていたんですけどね」と結果は惜しくも4着。「中央競馬ばっかりで、地方競馬場は初めてです」と笠松デビューを果たし、ライブ観戦を満喫していただけた。

ウマ娘シンデレラグレイ賞の感想を聞いた東スタンド

 ■キタハラジョーンズ姿でオグリキャップ推し

 7Rではキタハラジョーンズ賞も行われた。スタンドには、キタハラジョーンズ(オグリキャップトレーナーの北原穣)の姿をした、神奈川の男性にも聞いた。キタハラは笠松町主催のウマ娘50メートル走にも出場し、仮装優秀者として表彰されていたが「仮装の宴には出ていないです。トークショーを見ることと、笠松競馬場の応援に来ました。シングレ賞はクロフネの血(母の父)が入っていたから、複勝で8番(ミラクルム)を買っていて当たりましたが、1番人気でしたから」。

 岐阜県出身でもあり「推し馬はオグリキャップです。もうすぐ40歳で、オグリの名前はどっかで聞いたことがあったが、ウマ娘のファンになってようやく知りました」と横断幕も掲示して盛り上げ。スタンドから「シングレの景色」を堪能。トレーナーさんとしてオグリキャップ愛の熱量が感じられた。

 第2回キタハラジョーンズ賞は3歳戦で、馬渕繁治騎手騎乗のザイオンパーク(牡3歳、森山広大厩舎)が後方から差し切り勝ちを決めた。ゴール前では丸野勝虎騎手とのベテラン対決となったが、1番人気に推したファンの応援を力に競り合いを制した。

フジマサマーチ賞は塚本征吾騎手騎乗のキラカイドウが差し切り勝ち

 ■フジマサマーチ賞は塚本征吾騎手が激戦制す

 8Rの第3回ウマ娘フジマサマーチ賞では、5番人気キラカイドウ(セン馬8歳、藤田正治厩舎)が塚本征吾騎手の騎乗で大外から豪快に差し切り。昨年の名古屋リーディングの望月洵輝騎手(2着)、笠松リーディングの渡辺竜也騎手(3着)との激戦を制した。4、5着にも明星晴大騎手、筒井勇介騎手が入り、東海公営のトップジョッキーの馬番が掲示板に並んだ。

フジマサマーチ賞を勝ったキラカイドウと喜びの塚本征吾騎手ら

 勝った塚本騎手は「最後は馬が強かった。勝てて良かったです」とクビ差での激戦で好騎乗を見せた。

 ■ベルノライト賞は9歳ダルマワンサが差し切り

 9Rの第4回ウマ娘ベルノライト賞(栗毛馬限定戦)を勝ったのは、9歳牡馬ダルマワンサ(田口輝彦厩舎)に騎乗した筒井勇介騎手。栗毛ピカピカの馬体がまぶしい10頭が躍動した。

馬体ピカピカの栗毛馬10頭が参戦したベルノライト賞

 ダルマワンサは4コーナー4番手から大外を回って、1番人気セカンドフラッシュ=明星晴大騎手=をクビ差、鮮やかに差し切った。3歳時には岐阜金賞Ⅴがある古豪が健在ぶりを示してくれた。

ベルノライト賞は筒井勇介騎手騎乗の9歳馬ダルマワンサが差し切った

 実力馬の底力を引き出した筒井騎手は「良かったです。頑張ってくれました。58キロも背負った馬に感謝です」。お客さんも多くて「乗っていても気持ちいいですね」とファンの後押しに感謝。最後は明星騎手との競り合いになったが「相手はもういっぱいでしたし、僕の馬の方が伸びる感じだったので勝てるなあと」。昨年はエイシンロッソネリでシンデレラグレイ賞を制した筒井騎手。熱い声援が送られるウマ娘レースで勝負強さを発揮している。

ベルノライト賞を制したダルマワンサと喜びの筒井勇介騎手ら

 ウマ娘コラボも5年目を迎え、ゴールデンウイーク入りを飾るビッグイベントとしてすっかり定着。フジマサマーチ、ベルノライト、シンデレラグレイのウマ娘三賞とキタハラジョーンズ賞。ウマ娘ファンのトレーナーの皆さんには来年以降もライブ観戦ならではの感動を体感して、笠松競馬を盛り上げていただきたい。


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 「1聖地編」「2新風編」「3熱狂編」「4挑戦編」に続く第5弾「青春編」では、笠松競馬場などでの「砂上の格闘技」で完全燃焼した人馬たちへの惜別の思いも込めた。巻頭はシンデレラグレイ賞&トークショーでのウマ娘ファンの熱狂ぶり、続いて日本競馬界最大のヒーローであるオグリキャップ、アオラキ&ハルオーブ、ストーミーワンダー、ハマちゃんなどを特集。

 林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、182ページ、1500円(税込み)。岐阜新聞社発行。ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、笠松町歴史未来館、ホース・ファクトリー(ネットショップ)、酒の浪漫亭(同)、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。岐阜県笠松町のふるさと納税・返礼品。