長谷川成人・東京都医学総合研究所副所長

 アルツハイマー型認知症の一因とされる異常な「タウ」というタンパク質が、脳内で正常なタウに自分の形をコピーし広げていくことを患者からマウスへの移植実験で実証したと、長谷川成人・東京都医学総合研究所副所長らの国際チームが30日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 異常タンパク質の形が周囲に波及する仕組みは、狂牛病(牛海綿状脳症)の原因「プリオン」に酷似している。こうした仕組みを止める手段が分かれば、認知症の新しい治療法になる可能性がある。長谷川さんは「臨床応用には時間がかかるが、研究を続けていきたい」と語った。

 チームはアルツハイマー病のほか、脳にタウが蓄積する難病・大脳皮質基底核変性症の患者の死後脳から異常なタウを採取し、マウスの脳に注入。9カ月にわたって変化を追うと、初期の段階で患者由来の異常タウは姿を消す一方、マウス自身の異常タウが蓄積した。さらにマウスの異常タウを電子顕微鏡で観察すると、立体構造が患者のタウとほぼ一致した。