自著を手にする山田哲也さん(右)と出版を勧めた恩師の柳沢直教授=美濃市曽代、県立森林文化アカデミー

 岐阜県立森林文化アカデミー(美濃市曽代)卒業生で、高知県宿毛市で地域おこし協力隊として活動してきた山田哲也さん(49)=山県市出身=が、林業従事者の視点で実践、体験をつづった「木こりになって良かったよ」を自費出版した。課題や現場の厳しさが取り上げられがちな林業の、希望や魅力にスポットを当てた著作で、母校や全国計20の林業大学校、79の図書館に寄贈した。「林業志望者らの一助になれば」と話す。

 山田さんは旧山県郡高富町役場に入り主に文化行政を歩んだ後、2011年、同アカデミーに入学。森林生態学や環境社会学を学んだ。岐阜市の林業会社で働いた後、19年に高知県に移住、地域おこし協力隊員として林業に従事した。

 山田さんは10年の間に森林会社に勤めたり、一人親方に付いたりして働き、山主による所有林の整備もサポートした。ぶっきらぼうだが面倒見の良い師匠らとのやりとり、高い技能を持つ仲間と仕事ができる喜びをまとめ、自立を模索する自身の葛藤もつづった。

 出版のきっかけは恩師の柳沢直同アカデミー教授(53)の勧めだった。卒業後もメールで交流を続けていた柳沢教授は、山田さんを「インテリな部分と地方出身者の視点を持ちあわせた柔軟性のある人」と評し、山田さんの文章力でこそ林業の苦労、魅力が伝わると出版を提案したという。

 山田さんには林業の負の面が強調される現状を打開したいとの思いもあった。「木こりの仕事は給料が安くて危険。労働者の善意に頼る部分が大きい」としつつ、「出合う景色の美しさや先人の知恵、技術の素晴らしさなど、現場でしか分からないことを伝えたい」と出版を決意。昨夏の約1カ月間、クラウドファンディングで資金を募ると、目標額の4倍を上回る支援を得た。山田さんは「森林組合や民間林業事業者は森林整備の知恵の宝庫。林業を志す人たちは、夢のある林業の姿を描いてほしい」と話した。